近年、副業を始める人が急増しています。特に、メルカリやラクマなどのフリマアプリ、さらにはSNSを利用した商品販売やデジタルコンテンツの提供など、スマートフォン一つで誰でも簡単に副収入を得られる時代となりました。こうしたアプリやプラットフォームは、自分の得意分野や趣味を活かして稼ぎやすい手段として、多くの人に支持されています。
しかし、副業が普及する一方で、税務署の関心も高まっています。副業で得た収入が一定額を超える場合には本来、確定申告が必要となりますが、「小額だから大丈夫」と考えて申告を怠るケースも少なくありません。そのため、税務署は近年、こうした「無申告」の副業に対して監視を強化し、特にフリマアプリやSNSを利用した取引に関して税務調査を行うケースが増えているのです。
2024年の税務調査の傾向と実際にあった相談事例
通常、個人の税務調査は毎年7月から11月にかけて集中的に行われています。
ここでは、今年弊社に問い合わせがあった実際の税務調査事例を紹介します。この実例を通して、どのような副業内容や取引形態が税務署の目に留まりやすいのか、調査の対象となりやすいケースを具体的に把握しましょう。
事例①古着をメルカリ、フリマサイトで販売している事例
この事例は、古着の販売が趣味で、過去10年にわたり販売活動を続けていた方です。平日はサラリーマンとして働き、休日や空き時間に古着を売買する副業スタイル。実店舗での仕入れや販売もあるものの、主にネット上での取引が中心で、毎月の利益が20万~30万円程度に達していました。
しかし、過去に一度も確定申告を行ったことがなく、ある日突然、税務署から連絡を受け、税務調査が行われることになりました。
事例②メルカリ、買取り屋などでポケモンカード等を転売している事例
この事例は、実家で生活しながら、ポケモンカードやお酒、ゲームなどをメルカリ等のフリマアプリと買取屋の店舗で販売していた方のケースです。表向きは副業に見えるかもしれませんが、毎月の売上は1,000万円を超え、利益は40万円前後に達しています。
しかし、これまでに一度も確定申告を行ったことがなく、ある日突然、税務署から連絡があり税務調査を受けることになりました。驚いたことに、確定申告をしていないにも関わらず、税務署が電話番号を把握していたのです。
事例③犬の車いすを自作し楽天市場で販売するしている事例
この事例は、犬用の車いすを自作し、楽天市場などのECサイトを通じて7年前から販売している方のケースです。月の売上は80万円前後、利益は15万円ほどに達しており、事業としての安定収入が見込める状況でした。
しかし、確定申告が必要なことを認識していたものの、忙しさや手続きの難しさから申告を先延ばしにしていたところ、ある日突然、税務署から電話があり税務調査が行われることになりました。
副業はどうやって税務署にバレるのか?
2024年に弊社に実際に問い合わせがあった事例からいくつか紹介しました。
これらの事例から、副業が税務署にバレてしまう理由を以下のように整理して考えられます。
1. デジタルプラットフォームの情報提供義務
メルカリや楽天市場などの大手ECプラットフォームは、一定の売上を超える取引について税務署への情報提供が求められる場合があります。特に、高額の取引や取引頻度が多い利用者は、「事業的な収入」として注目されやすく、税務署が売上データにアクセスする可能性が高まります。
2. 銀行口座やクレジットカードの入出金
定期的な大口の入金や副業収入のような頻繁な入金が発生する口座は、税務署から収入源を疑われやすいです。特に、確定申告がされていないと、税務署は銀行口座の入出金履歴をチェックすることで副業収入を把握します。また、クレジットカードやキャッシュレス決済も、取引の流れを追うための重要な手がかりとなっています。
副業をしている場合の税務調査対策
これまで見てきたように、副業が税務署にバレないように上手く立ち回るというのは難しいです。また、一定以上の利益があれば確定申告は義務になりますので忘れずに申告をするようにしましょう。
1. 適正な申告をしよう
副業で得た収入が一定額を超える場合は、確定申告が必要です。適正に申告することで、後からペナルティや税務調査のリスクを減らすことができます。副業収入がある方は、毎年の申告を忘れずに行いましょう。
2. 経費に関する書類は必ずとっておこう
副業にかかる経費の領収書や請求書は必ず保存しておきましょう。これらは、収入に対して必要経費を計上する際に重要な証拠となり、税額を抑えるためにも役立ちます。経費書類をきちんと保管することが、安心して副業を続ける第一歩です。
3. 経費等の領収書を捨ててしまった場合は専門家に相談しよう
もし経費の領収書や請求書を紛失してしまった場合でも、税理士などの専門家に相談することで、何らかの対処ができる可能性があります。証拠が不足している場合は、他の方法で経費を裏付けることもできるため、まずは相談してみましょう。
4. 既に無申告の期間がある場合も専門家に相談しよう
もし過去に無申告の期間がある場合、自己判断で対応するのはリスクが高いため、専門家に相談することをおすすめします。税理士は無申告の対応策をアドバイスしてくれるだけでなく、ペナルティの軽減や適切な申告手続きをサポートしてくれます。
まとめ
今回は副業で税務調査が入った方の事例を紹介しました。もう一度ポイントを整理しましょう。
- 副業収入が一定額を超えたら必ず確定申告を
- デジタル取引情報は税務署に把握される可能性あり
- 経費の領収書は必ず保管して節税対策
- 無申告があれば専門家に相談を
- 適切な収支管理で副業リスクを最小化
副業が広がる中で、税務署の監視体制も強化されています。副業を安心して続けるためには、適正な申告と収支管理が欠かせません。収入が一定額を超える場合には必ず確定申告を行い、経費に関する書類はすべて保管しましょう。
もし領収書を紛失してしまったり、過去に無申告の期間がある場合は、自己判断で対応するのではなく、税理士などの専門家に相談することで、リスクを最小限に抑えることができます。
適切に対応することで、副業収入を守りつつ、税務リスクを避けながら長く安心して副業に取り組むことが可能です。