タレコミで税務調査は入る?税務署が動く、動かない基準や調査の対象になりやすいタレコミを紹介します。


個人・法人を問わず、税務申告を行う人すべてに可能性がある税務調査。

別記事ではどんな人が税務調査の対象になりやすいかをご紹介しましたが、その他「税務署にタレコミが入って税務調査が入ることはあるのか?」という心配の声を聞くことがあります。

そこでこの記事では、税務調査がタレコミの情報によって行われることはあるのか?行われる場合はどんなタレコミが調査まで至るのか、そして、そもそも税務署へのタレコミにはどんな方法があるのか、をご紹介します。


税務署へのタレコミで税務調査はあり得るのか


結論からお伝えすると、税務署がタレコミの情報をもとに税務調査に入ることは実際にあります。というのも、税務署は広く一般から「課税及び徴収漏れに関する情報」の提供を受け付けているのです。


タレコミの方法


税務署への情報提供の方法としては、国税庁のホームぺージに設置されている「情報提供フォーム」に入力して送信するほか、郵送や電話、面接という方法もあります。


タレコミされるのはどんな人?


国税庁に寄せられる一般からのタレコミは少なくなく、またその多くがタレコミ対象者に対して恨みや妬みを持つもの、という実状があります。

それゆえ、税務署はすべてを真に受けて対応している暇などなく、証拠がある程度揃っているなど、信憑性の高いもの以外は実際の調査まで至らないことがほとんどです。


実際に有効とされたタレコミの例


それでは、どんなタレコミなら有効とされているのか。国税庁では以下のような情報提供を有効と示しています。


【所得税・法人税関係】

  • 売上金(収益)や必要経費(費用)について、架空又は事実と異なる経理を行うことで不当・不正に所得金額等を少なく(又は還付税額を多く)申告している納税者に関する情報。
  • さらには、その具体的な手段・方法に関する情報
  • 事業が活況を呈している(繁盛している)にもかかわらず、税の申告をする必要はない・申告しないなどと公言・吹聴している者に関する情報
  • 他人名義での取引、他人名義の口座等を利用している者及びその銀行口座に関する情報
  • 架空又は事実と異なる契約書、領収書、請求書、納品書等の書類の作成、交付、作成依頼等(白紙領収書等の交付依頼などを含む。)を行っている者に関する情報

【消費税関係】

  • 虚偽の国内仕入れ(課税取引)や虚偽の輸出売上げ(免税取引)を計上する方法等により、不正に消費税の還付を受けている者に関する情報
  • 輸出物品販売場(免税店)において、転売目的で商品を購入している非居住者やその店舗に関する情報
    (※)転売目的での購入は免税購入の対象とはなりません。

【滞納・徴収関係】

  • 国税を滞納しているにもかかわらず、財産を隠匿している者や、その財産に関する情報

【その他】

  • 節税商品や特定の取引手法を利用した租税回避に関する情報や、その組成・販売をしている者に関する情報
  • 海外で稼得した所得に係る課税を免れている者や各国の税制の違い・租税条約を利用して課税を免れている者に関する情報
  • 上記の各項に掲げるような者の協力者に関する情報

引用:課税・徴収漏れに関する情報の提供


税務調査に入られるのはどんなタレコミ?


国税庁の基準を知ったうえで、もう少し詳しく、どのようなタレコミが調査対象となりやすいのか具体例を見ていきましょう。


信憑性が高いと判断されたタレコミ


恨みなどから特定の人に一泡吹かせてやりたい、そんな気持ちで寄せられるタレコミ情報も多い税務署。それをひとつひとつ調べていくことはしていません。一方で、これは確かに脱税の可能性が高いかも…と判断されるものについては、税務署も証拠を集めて調査を開始します。

対象者と同じ会社の元社員や、いわゆる愛人のような特殊で親密な関係にあった人は、内部の事情をよく知っていて情報の信憑性が高いことも多く、税務調査の対象となり得るタレコミをすることも少なくありません。

また、同じ対象者に対する情報提供が複数ある場合も調べられやすくなるでしょう。


無申告に対するタレコミ


申告内容に虚偽がある場合のほか、申告するべき所得を得ていたにもかかわらず確定申告をしていない「無申告」も、もちろん税務調査の対象となります。税務署では、この無申告の状態にある人への税務調査を強化しています。

また、税に対する専門知識がなくても、所得を申告しているかしていないかは一般の人でも簡単に目につきやすいので、「あの人は最近羽振りがいいようだけど、確定申告をしていないのでは?」と、こんなタレコミがご近所さんから入ることもあり得るのです。


タレコミから税務調査に至る流れ


タレコミがあった場合、どのような流れで税務調査が行われるのでしょうか。


税務署が証拠を集める


タレコミの情報が確かなものかどうか、対象者に対する証拠が集められます。申告の誤りや無申告の状態が明らかとなれば、税務調査の対象となります。


対象者への通知


税務調査の対象となれば、調査の前にその旨の事前通知がおこなわれます。また、申告を税理士に依頼していた場合は、その担当税理士に連絡が入ります。


調査日時の確定


税務署から通知を受けた後は、実際に調査を行う日時を相談します。


調査当日


事前に取り決めた調査日に、調査官が会社などを訪問し調査が行われます。ただし、調査は一日とは限らず、規模の大きな法人などの場合は複数日に渡って調査が実施されることもあります。

調査には税理士を同伴させることが可能なので、依頼すれば、調査の事前準備から当日の立ち合い、税務署職員との予想問答のシミュレーションもおこなうことができます。税務調査に入られる場面はそうそうないので、万全な準備を行うことが第一でしょう。


まとめ


本記事では、タレコミから税務調査に入られる可能性があるのかどうか、どんなタレコミが調査に至るのか、税務署へのタレコミの方法、以上をご紹介しました。

要点をもう一度確認すると、


  • タレコミから税務調査に入られることはあるが、私情が絡んだものも多く実際の調査に至ることは少ない
  • 元社員など、信憑性の高いタレコミは調査対象となりやすい
  • 税務署は無申告者の取り締まりを強化していて、無申告は一般の人からも目につきやすくタレコミが入りやすい


税務調査は法人・個人に関係なく可能性があります。税務調査に入られないためには、正しい申告が基本となりますね。

申告の期限を守ることは大前提に無申告の状態にならないこと、自身での申告に不安がある場合は税理士に依頼するなどして、不要な税務調査が入らないよう対策をしましょう。


この記事を書いた人

税理士法人T-FRONT

税理士法人T-FRONT

愛知県名古屋市、静岡県浜松市など東海地方に拠点を置く税理士法人です。
顧問税理士サービスをはじめ会社設立、創業融資、元国税庁職員による税務調査対応など、法人や個人事業主の税務・財務問題に幅広く対応。ともに伴走し、事業をともに成長させるパートナーとして日々活動しています。
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