【2024年最新版】日本政策金融公庫から創業融資を借りるための完全ガイド

「創業融資を申し込みたいけど、何を準備すればいいのか分からない…」
起業を目指す方の多くが、このような不安を抱えています。資金が足りないと、どんなに素晴らしいアイデアや計画があっても事業を始めることは難しいですよね。

創業融資は、そんな起業家の夢を支える大切な資金調達手段です。しかし、申請に必要な書類や審査のポイントを知らないために、融資を受けられなかったというケースも少なくありません。

この記事では、日本政策金融公庫の創業融資を成功させるための具体的なステップや準備方法を、分かりやすく解説します。初めての融資申請でも安心して取り組めるようサポートしますので、ぜひ最後までお読みください!


創業融資とは何か?【創業融資の基礎知識】


創業融資は、新たに事業を開始する際に必要な資金を金融機関から借り入れる制度です。主に以下の2種類があります。自分の事業内容や状況に応じて、最適な融資方法を選ぶことが成功への鍵となります。

関連記事:創業融資の条件を初心者向けに解説【2024年版】


1. 銀行融資

銀行融資は、民間銀行が提供する資金調達方法で、事業計画や信用力の審査が厳しいため、創業間もない事業者にはハードルが高い場合があります。ただし、融資額や条件が事業内容に合致する場合には、有効な資金調達手段となることもあります。


2. 政府系金融機関の融資

 日本政策金融公庫や地方自治体が提供する制度融資で、創業者向けの支援制度が充実しています。特に、日本政策金融公庫は政府系の金融機関として、創業者を積極的にサポートしています。

関連記事:創業融資の種類を徹底解説|銀行と日本政策金融公庫の違い


創業融資は日本政策金融がおススメです!

 創業融資を検討している方にとって、日本政策金融公庫は非常に魅力的な選択肢です。政府系の金融機関として、創業者向けに特化した支援制度を整えており、事業を始める際の資金不足を解消するための頼もしいパートナーとなります。

創業期の方は営業実績が乏しいなどの理由により資金調達が困難な場合が少なくありません。このため日本政策金融公庫では新規開業資金をはじめとした創業融資を通じて、幅広方の創業・スタートアップを重点的に支援しています。



日本政策金融公庫の新規開業資金の概要

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は、2024年3月31日をもって廃止されました。これに伴い、同年4月1日からは「新規開業資金」制度が拡充され、創業者向けの資金調達手段として提供されています。



項目詳細
対象者新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方
融資限度額最大7,200万円(うち運転資金は4,800万円まで)
返済期間設備資金:最大20年
運転資金:最大10年(据置期間:最大5年)
金利基準利率(最新の利率は日本政策金融公庫の公式サイトをご確認ください)
担保・保証人お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます。
用途事業の立ち上げや運営に必要な設備資金、運転資金など
申込方法日本政策金融公庫の支店窓口、またはオンライン申込
審査のポイント自己資金の有無、事業計画の具体性、収益性、返済能力、起業家の熱意など
審査結果通知の目安申込から2~3週間程度
融資実行の目安審査通過後、約1ヶ月以内に融資金が振り込まれる
公式サイト日本政策金融公庫公式サイト



自己資金要件の変更について

2024年4月1日以降、日本政策金融公庫の「新規開業資金」では、自己資金の要件が撤廃されました。そのため、自己資金がなくても融資申請が可能です。ただし、自己資金があることで審査の印象が良くなり、融資額や条件に良い影響を与える場合があります。そのため、可能な範囲で自己資金の準備を進めることをお勧めします。


自己資金の重要性

融資を受けるためには、自己資金の準備も重要なポイントです。自己資金は、事業主がどれだけ本気で事業を行う意思があるかを示す指標として審査に影響します。

自己資金は、必要な資金総額の約10%〜30%程度が望ましいとされています。例えば、必要資金が500万円の場合、50万円〜150万円程度の自己資金があると、融資の審査が通りやすくなります。



日本政策金融公庫と民間の銀行(信用金庫)を併用した方がよいケースもある!


日本政策金融公庫の創業融資は、創業期の方々にとって強力な支援となる制度です。利用を検討される際は、自己資金や事業計画の準備をしっかり行い、スムーズな審査通過を目指しましょう。

また、創業融資の希望金額や内容によっては、日本政策金融公庫だけではなく民間の金融機関にも同時に融資を申し込んだ方がよいケースもありますので迷ったら専門家に相談するのがベストです。


創業融資の流れを解説


創業融資を成功させるためには、各段階で必要な準備を進めることが重要です。ここからは創業融資の第一選択肢である、日本政策金融公庫の融資手続きの基本的な流れを解説します。まず、事業計画書や自己資金の証明など、必要書類を事前に準備しましょう。

日本政策金融公庫では融資の申し込みはオンライン申込サービスを利用し、24時間365日いつでも手続きが可能です。詳しくは、日本政策金融公庫のオンライン申込ページをご確認ください。



1. 必要書類の準備

融資申請の第一歩は、必要書類を揃えることです。審査をスムーズに進めるため、以下の書類を用意しましょう。



必要書類一覧

必要書類内容
借入申込書融資を申し込む際の基本書類。申込人情報、融資希望額、資金使途を記載します。
創業計画書事業の概要や将来計画を詳細に記載する書類。審査の際に特に重視されます。※次の章で解説を加えます。
月別収支計画書(資金繰り計画書)創業後の売上や経費の予測を月ごとにまとめた計画書。
※必須ではないが提出した方が良い
履歴事項全部証明書(法人の場合)法人登記事項を確認するための証明書。
見積書(設備資金の場合)設備資金申請時に必要な設備に関する見積書。
不動産の登記簿謄本または登記事項証明書(不動産担保の場合)不動産を担保にする場合に必要な書類。
運転免許証またはパスポート顔写真のページおよび現住所等の記載のあるページが必要


創業融資の各種様式は、日本政策金融公庫の公式ウェブサイトからダウンロード可能です。事業計画書や必要な書類のテンプレートを活用することで、漏れのない書類作成が可能になります。詳しくは、日本政策金融公庫のダウンロードページをご確認ください。


2. 事業計画書(創業計画書)の作成

事業計画書(創業計画書)は、創業融資を受けるための重要な書類です。これは事業の目的や具体的な運営方法、収益計画を明確にし、融資元に自分の事業の可能性を伝える役割を果たします。

計画書には、事業内容や強み、ターゲット市場、収益見通し、必要資金の使途などを記載します。特に創業期の融資では、実績よりも計画の具体性や起業家の熱意が重視されるため、現実的かつ説得力のある内容が求められます。

また、自己資金の状況やリスクへの対応策も重要なポイントです。計画書の完成度を高めるためには、公庫のテンプレートを活用し、税理士などの専門家に相談することも効果的です。


創業計画書のチェックポイント

以下に創業計画書のチェックポイントをまとめました。これらをしっかりと網羅した計画書を作成することで、金融機関を納得させる説得力のある内容に仕上げることができます。


  • 事業概要の明確化
    事業の目的、提供する商品やサービス、事業の強みを簡潔に記載。
  • ターゲット市場の特定
    顧客層や市場のニーズを具体的に説明。
  • 収益計画の具体性
    売上や利益の予測を現実的な根拠に基づいて記載。
  • 必要資金と使途の明示
    必要な資金額とその具体的な用途を明確化。
  • 自己資金の状況
    自己資金の有無や割合を示し、融資の信頼性を高める。
  • リスク管理の計画
    事業運営におけるリスクとその対策を記載。
  • 熱意と行動計画
    起業家としての意欲と具体的な行動計画を伝える。


関連記事:【2024年最新版】日本政策金融公庫の創業計画書(事業計画書)の書き方を徹底解説します。


3. 審査

創業融資の審査では、提出書類を基に事業の信頼性や実現可能性が評価されますが、特に面談が重要な役割を果たします。面談では、事業の目的や背景、動機を明確に説明し、事業計画の具体性や現実性を補足することが求められます。

また、起業への熱意や事業への真剣な姿勢を示すことで信頼を得ることが重要です。審査では、収益性や返済能力、自己資金の有無が重視され、これらが現実的かつ納得できる内容である必要があります。

面談では、事業計画を自分の言葉でわかりやすく伝えることがポイントです。練習を重ね、説得力を高めて面談に臨むことが成功への鍵となります。

関連記事:創業融資の審査に落ちる5つの理由。事例をもとに審査に通らない理由を解説します。



4. 融資実行

創業融資が審査を通過すると、融資が正式に承認され、必要な手続きが完了次第、融資金が指定の銀行口座に振り込まれます。一般的なスケジュールとしては、審査結果の通知までに2〜3週間、融資実行は審査通過後約1ヶ月以内となります。

融資金は、事前に提出した事業計画書で示した用途に基づいて活用することが求められます。計画と異なる使途に使用した場合、信頼を損なう可能性があるため、注意が必要です。

また、融資担当者との信頼関係を維持するため、必要に応じて進捗や資金活用状況の報告を行うと良いでしょう。スケジュール管理と適切な活用が融資後の事業成功の鍵となります。


創業支援に強い税理士のサポートが役立つ場面


創業融資の成功率を上げるためには、専門家の力を借りることが非常に有効です。特に税理士のサポートは、書類作成や審査対応において大きな助けとなります。



1. 書類作成の精度向上

税理士が関与することで、審査官の期待に応える正確で説得力のある書類を作成できます。特に事業計画書や収支計画書において、税理士は過去の事例やデータを活用し、収益性や返済能力を的確に示すことで計画の現実性を強調できます。また、日本政策金融公庫や銀行が求めるフォーマットや内容を熟知しているため、金融機関にスムーズに受け入れられる書類作成が可能になります。税理士の専門知識を活用することで、融資の可能性を大きく高めることが期待できます。


2. 審査通過率がアップ

税理士のサポートを受けることで、創業融資の審査通過率が向上すると言われています。税理士は事業計画書の完成度を高め、面談時の対応力を強化するサポートを行い、これが審査成功に繋がる大きな要因となります。

また、日本政策金融公庫の担当者によると、飛び込みの申請者よりも税理士からの紹介案件を優先する傾向があるとのことです。税理士の紹介を通じて提出される書類は、内容の信頼性や正確性が高いため、審査がスムーズに進む可能性が高まります。このような点からも、税理士のサポートを受けることは、創業融資を成功させるための有効な手段と言えるでしょう。


3.面談対策の支援

税理士は融資審査の流れや、面談での質疑応答に関する的確なアドバイスを提供します。面談では、事業計画書の内容を自分の言葉で適切に説明することが求められますが、税理士はそのためのポイントや説明方法を指導し、面談に臨む不安を軽減します。

税理士の支援を受けることで、面談準備が万全となり、融資審査がスムーズに進むことが期待されます。書類作成や審査対応に不安を抱えている方は、税理士への相談を検討することで、成功率を大きく高めることができるでしょう。

関連記事:創業融資で税理士は本当に必要?メリット・デメリットや手数料などのポイントも解説



創業融資よくあるQ&A


創業融資を検討する際、多くの方が疑問に思うポイントをまとめました。融資申請の準備や審査の流れについての不安を解消し、スムーズに手続きを進めるための参考にしてください。


Q
自己資金が少なくても融資を受けられますか?
A

はい、可能です。

自己資金が少ない場合でも、事業計画の具体性や実現可能性、起業への熱意をしっかりと示すことで、融資を受けられる可能性があります。ただし、自己資金は事業へのコミットメントを示す重要な要素であり、日本政策金融公庫の調査によれば、創業資金総額に占める自己資金の割合は平均で約2割となっています。

関連記事:自己資金なしでも創業融資は受けられる?融資を成功させる5つのポイントを解説。

Q
自己資金はいくらあれば大丈夫ですか?
A

一般的には、創業資金の1/3程度が目安とされています。

自己資金の割合は、事業計画や申請する融資額によって異なりますが、日本政策金融公庫の場合、創業資金の1/3以上の自己資金があると審査で有利になる傾向があります。これはあくまで目安なので、自己資金50万で900万円の創業融資を獲得した事例もあります。

関連記事:自己資金が少ない場合でも融資を受けられる?よくある疑問に答えます

Q
信用情報に問題がある場合でも融資を受けられますか?
A

難しい場合があります。

日本政策金融公庫は、全国銀行個人信用情報センター(KSC)に加盟しており、申込者の信用情報を確認しています。そのため、過去に金融事故があり信用情報に問題がある場合、融資が難しくなる可能性があります。信用情報の回復には、任意整理や強制解約、代位弁済の場合は5年、自己破産の場合は10年程度かかるとされています。

関連記事:創業融資は信用情報ブラックでも借りられる?日本政策金融公庫なら信用情報は見ない?詳しく解説します。

Q
個人事業主でも創業融資を受けられますか?
A

はい、受けられます。

日本政策金融公庫の創業融資は、個人事業主の方も対象となっています。個人と法人で融資申込に大きな違いはなく、どちらが有利ということもありません。ただし、法人の場合は履歴事項全部証明書などの追加書類が必要となります。

Q
融資の審査にはどれくらい時間がかかりますか?
A

平均で3週間程度です。

融資申込から融資決定までの期間は、平均で約3週間とされています。ただし、融資の条件や申込内容によっては、さらに時間がかかる場合もあります。お急ぎの場合は、事前に支店窓口でご相談されることをおすすめします。

Q
担保や保証人がなくても融資を受けられますか?
A

はい、可能です。

創業期の方(新たに事業を始める方や事業開始後税務申告を2期終えていない方)は、原則として無担保・無保証人で各種融資制度を利用できます。※第三者の保証人が不要。代表者は保証人となります。

Q
審査に落ちたら、どうすればいいですか?
A

審査に落ちた理由を確認し、改善策を講じましょう。

日本政策金融公庫や金融機関から審査に落ちた理由を教えてもらうことができる場合があります。例えば、事業計画書の内容や自己資金の不足が理由であれば、それを改善した上で再申請を検討しましょう。

関連記事:創業融資で審査に落ちた場合の次のステップとは?


まとめ


創業融資は、起業家にとって事業をスタートさせるための強力な資金調達手段です。成功のカギは、準備段階でいかに具体的で説得力のある事業計画を作成し、金融機関の審査官を納得させられるかにかかっています。本記事では、日本政策金融公庫を例に、融資申請の流れや必要書類、面談のポイント、税理士のサポートがいかに役立つかを解説しました。

初めての融資申請では不安がつきものですが、正確な情報を基に計画的に準備を進めることで、その不安を解消できます。また、税理士など専門家の力を借りることで、申請の成功率を高め、スムーズな融資実行につなげることができます。

創業融資を検討されている方は、ぜひ本記事を参考にしながら一歩ずつ準備を進め、夢の実現に向けて前進してください!


この記事を書いた人

税理士法人T-FRONT

税理士法人T-FRONT

愛知県名古屋市、静岡県浜松市など東海地方に拠点を置く税理士法人です。
顧問税理士サービスをはじめ会社設立、創業融資、元国税庁職員による税務調査対応など、法人や個人事業主の税務・財務問題に幅広く対応。ともに伴走し、事業をともに成長させるパートナーとして日々活動しています。
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