- 法人カードって、個人カードと何が違うの?
- 法人カードの導入するメリットは?
- 自社にはどんな法人カードが合うんだろう?
この記事では法人カードの基礎知識から、導入のメリット・デメリット、自社に最適なカードの選び方、そして気になる審査のポイントまで、専門的な情報を分かりやすく解説します。
経費精算の効率化やキャッシュフロー改善を実現し、ビジネスを加速させるための一歩を踏み出しましょう。
法人カードとは?まず知っておきたい個人カードとの3つの違い
法人カードとは、法人格を持つ企業や団体、または個人事業主を対象として発行される、事業経費の支払いに特化した決済カードの総称です。
個人が私的に利用するクレジットカードとは、主に以下の3点で大きく異なります。
契約者と利用目的
法人カードを利用することで、会社の経費と個人の支出を明確に分離でき、経費管理の透明性が向上します。
- 法人カード: 契約者は法人または個人事業主です。会社の事業活動に伴う経費(出張費、接待交際費、備品購入費など)の支払いが目的です。
- 個人カード: 契約者は個人です。個人のプライベートな買い物が主な目的です。
利用限度額
法人カードは、企業の大きな支出(広告費、サーバー費用、資材購入など)にも対応できるよう、個人カードに比べて利用限度額が高く設定されているのが一般的です。
会社の規模や業績に応じて、数百万から数千万円、あるいはそれ以上の限度額が設定される場合もあります。
付帯サービス
法人カードには、ビジネスシーンで役立つ多様なサービスが付帯しています。
- 会計ソフトとのデータ連携機能
- 出張時に便利な空港ラウンジの利用や手厚い旅行傷害保険
- 接待に使えるレストランの優待やコンシェルジュサービス
- 福利厚生サービス(提携ホテルの割引など)
これらのサービスは、業務の効率化や経費削減に直接繋がる大きな魅力です。
法人カードを導入する5つのメリット
法人カードの導入は、経費精算の簡略化だけでなく、企業経営に多岐にわたるメリットをもたらします。
経費管理の効率化と透明性の向上
従業員の現金立替や仮払い、その後の精算といった煩雑な手続きが不要になります。
利用明細には「誰が、いつ、どこで、何に、いくら使ったか」が記録されるため、経費の利用状況が可視化され、手入力によるミスや不正利用の抑止に繋がります。
キャッシュフローの改善
クレジットカードの「後払い」機能により、支払日から実際の口座引き落としまで1〜2ヶ月程度の猶予が生まれます。
この支払いサイトの延長は、手元資金に余裕を持たせ、企業の資金繰りを安定させる効果があります。
経費の削減効果
- 振込手数料の削減: 取引先ごとの銀行振込をカード払いに集約することで、振込手数料を大幅に削減できます。
- ポイント・マイルの活用: カード利用で貯まったポイントやマイルを、備品購入や出張時の航空券代に充当することで、実質的な経費削減が可能です。
ビジネスに役立つ付帯サービスの活用
前述の空港ラウンジサービスや旅行傷害保険、コンシェルジュサービスなどを活用することで、出張や接待の質を高めつつ、関連コストを抑えることができます。
ガバナンス強化とコンプライアンス向上
経費利用の透明性が高まることで、不適切な支出を抑制する効果が期待できます。
利用明細は監査時の客観的な証憑ともなり、企業の内部統制強化に貢献します。
知っておくべき法人カードのデメリットと注意点
多くのメリットがある一方、導入前に知っておくべき注意点も存在します。
年会費
ゴールドやプラチナなど、付帯サービスが充実したカードは年会費が発生する場合があります。
ただし、年会費は経費として計上可能です。年会費無料のカードや、利用条件を満たすと無料になるカードもあります。
管理負担
従業員に追加カードを多数発行した場合、誰がどのカードを保有しているかなどを管理する手間が発生します。
利用ルールの策定と周知が重要です。
支払い方法の制限
法人カードの支払い方法は、原則として「1回払い」のみで、分割払いやリボ払いには対応していないことがほとんどです。
【重要】インボイス制度への対応
2023年10月に開始されたインボイス制度により、クレジットカード会社が発行する利用明細書だけでは、原則として消費税の仕入税額控除が受けられなくなりました。
仕入税額控除を受けるためには、取引先(店舗など)から適格請求書(インボイス)の要件を満たした領収書やレシートを別途受け取り、保存する必要があります。
【目的別】法人カードの主な種類と特徴
法人カードにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。自社の目的に合ったタイプを選びましょう。
ビジネスカードとコーポレートカード~企業規模で選ぶ~
一般的に、企業の規模に応じて区分されます。
- ビジネスカード: 主に中小企業や個人事業主向け。
- コーポレートカード: 主に大企業向け。
コーポレートカードの方が、追加カードの発行枚数が多く、包括的な経費管理ソリューションと連携できるなど、ガバナンス強化に繋がる機能が充実している傾向にあります。
パーチェシングカード~特定の支払いを効率化~
企業間取引(BtoB決済)に特化したカードです。
部署名義や費目名義でカードを発行し、特定のサプライヤーへの支払いや広告費などを集約できます。不正利用防止のため、利用先を限定する機能も備わっています。
失敗しない法人カードの選び方!4つの重要ポイント
数ある法人カードの中から最適な一枚を選ぶためのポイントを解説します。
- 企業規模と利用者に合わせる
個人事業主や中小企業であれば「ビジネスカード」、大企業であれば「コーポレートカード」が基本です。
誰が(経営者のみか、従業員もか)、何に使うのかを明確にしましょう。
- 年会費と付帯サービスのバランス
年会費の金額だけで判断せず、自社にとって必要なサービス(旅行保険、ETCカード、会計ソフト連携など)が付帯しているかを確認し、コストパフォーマンスを総合的に評価することが重要です。
- 会計ソフトとの連携機能
経理業務の効率化を重視するなら、現在利用している、あるいは導入予定の会計ソフトとスムーズにデータ連携できるかは必ず確認しましょう。
- ポイント還元率
経費の支払いが高額になるほど、ポイント還元のメリットは大きくなります。
貯まったポイントの使い道(マイル、商品券、キャッシュバックなど)も確認し、自社にとって有利なプログラムを選びましょう。
法人カードの審査でみられる点と通過のための対策
法人カードの発行には審査が必要です。事前にポイントを理解し、準備しておくことが大切です。
審査で見られる主な項目
- 会社の経営実績と財務状況
設立からの年数や事業の継続性、決算書の内容(特に収益性)が評価されます。
一般的に「設立3年以上・2期連続黒字」などが一つの目安とされますが、必須ではありません。
- 代表者の信用情報
中小企業や個人事業主向けのカードでは、経営者個人のクレジットヒストリー(過去の延滞の有無など)が非常に重要視されます。
- 事業の実態
会社のウェブサイトやパンフレットの有無、固定電話番号の存在などが、事業の実在性を示す指標として確認されることがあります。
審査で見られる主な項目
- 代表者の信用情報をクリーンに保つ: 個人のクレジットカードなどで延滞しないよう注意しましょう。
- 申込書類を正確に記入する: 誤字脱字や記載漏れがないよう、細心の注意を払って準備します。
- 自社の状況に合ったカードを選ぶ: 設立直後の場合は、決算書不要で代表者の信用情報で審査されるカードや、法人デビットカードを検討するのが有効な戦略です。
【まとめ】自社に最適な法人カードでビジネスを加速させよう
法人カードは、単なる決済ツールではありません。
経費管理を劇的に効率化し、キャッシュフローを改善し、企業のガバナンスを強化するための戦略的なツールです。
この記事で解説したメリット・デメリット、種類、そして選び方のポイントを踏まえ、自社の事業規模や目的に最適な法人カードを導入することで、バックオフィス業務の負担を軽減し、経営者や従業員が本来のコア業務に集中できる環境を整えることができます。
あなたのビジネスを次のステージへ進めるために、ぜひ法人カードの活用をご検討ください。