日本の多くの事業者にとって会計業務は事業運営に不可欠です。
近年、会計業務のあり方を大きく変革しているクラウド会計ソフトの中でも、長年の実績を誇る弥生株式会社の「弥生会計」シリーズは大きな注目を集めています。
この記事では、弥生会計の各製品の特徴、料金プランなどを解説します。
最適な会計ソフト選びの参考にしてください。
弥生会計とは??~弥生会計選ばれる理由~

弥生会計とは、弥生株式会社が提供する会計ソフトの総称です。
弥生会計を理解する上で、弥生株式会社の背景とクラウド会計の意義に触れておくことが重要です。
弥生会計にはクラウド版の製品群も提供されています。
これらは法人から個人事業主まで、多様な事業規模とニーズに対応する製品ラインナップを展開しています。
弥生の伝統と市場での高い信頼性
弥生株式会社は30年以上にわたり日本の会計ソフト市場で確固たる地位を築いてきました。
特にデスクトップ版会計ソフトでは圧倒的なシェアを誇り、「業務ソフト市場では82.7%の圧倒的シェアを誇り、「4人に3人」が弥生製品を使用している」 とされるほど、その信頼性と実績は広く認知されています。
この長年の経験は、日本の複雑な税制や商習慣への深い理解に繋がり、製品開発に活かされています。
クラウド会計への移行
現代のビジネス環境において、クラウド会計ソフトは場所を選ばないアクセス、リアルタイムでのデータ共有、法改正への自動アップデート、会計事務所とのスムーズな連携など、業務効率を大幅に向上させる多くのメリットを提供します。
弥生会計は時代のニーズに応えるべく開発されたソリューションであり、法人から個人事業主まで多様なニーズに対応する製品ラインナップを展開しています。
弥生会計の製品一覧
弥生会計は、事業者の規模や申告方法に応じて、複数の製品を提供しています。
主要なクラウド製品について詳しく見ていきましょう。
法人向けクラウド会計ソフト「弥生会計 Next」
「弥生会計 Next」は、法人向けに提供される弥生の新しい主力クラウド会計ソフトです。
使いやすさとバックオフィス業務全体の効率化を追求して設計されており、特に中小企業やスタートアップ企業に適しています。
会社設立を考えるべき条件
- 会計業務の自動化
2,500以上の金融機関の口座やクレジットカードの取引データを自動取得し、AIが勘定科目を推測して仕訳をサポートします。
- 決算書作成
登録データから貸借対照表や損益計算書などの決算書を自動作成します。
- 業務連携
「弥生請求 Next」(請求書発行)、「弥生経費 Next」(経費精算)、「弥生証憑 Next」(証憑管理)といった関連サービスと連携し、バックオフィス業務全体を効率化します。
- 経営状況の可視化
リアルタイムでレポートが自動集計され、部門別会計にも対応しています。
- 税理士・会計事務所との連携
顧問税理士と会計データをリアルタイムで共有できます。
- 法令対応
インボイス制度や電子帳簿保存法といった最新の法令改正にも対応します。
会社設立を考えるべき条件
エントリー、ベーシック、ベーシックプラスの3つの有料プランがあり、機能やサポート内容が異なります。
最大3ヶ月間、ベーシックプラスプラン相当の機能を無料で試せる体験プランも用意されています。
個人事業主向けクラウド会計ソフト
個人事業主向けには、確定申告の種類(青色申告・白色申告)に応じたクラウドソフトが提供されています。
やよいの青色申告 オンライン
「やよいの青色申告 オンライン」は、青色申告を行う個人事業主向けのクラウド会計ソフトです。
複式簿記による記帳から青色申告決算書の作成、e-Taxによる電子申告までをサポートします。
- スマート取引取込
銀行口座やクレジットカードの取引データを自動で取り込み、AIが仕訳を提案します。
- 青色申告書類作成
青色申告決算書や確定申告書Bなどを画面の案内に沿って簡単に作成できます。
- e-Taxダイレクト送信
作成した申告データを直接e-Taxで送信できます。
- スマートフォンアプリ
スマートフォンからも取引入力やレシート撮影による自動仕訳が可能です。
- 法令対応
インボイス制度や電子帳簿保存法に対応しています。
- 料金プラン
セルフプラン、ベーシックプラン、トータルプランの3種類があり、サポート内容が異なります。
セルフプランとベーシックプランは初年度無料、トータルプランは初年度半額で提供されるキャンペーンが一般的です。
会社設立を考えるべき条件
「やよいの白色申告 オンライン」は、白色申告を行う個人事業主向けのクラウド会計ソフトです。
よりシンプルな会計処理を求める個人事業主に適しています。
- かんたん取引入力
簿記の知識がなくても、簡単な入力で収支内訳書を作成できます。
- 収支内訳書作成
白色申告に必要な収支内訳書を自動で作成します。
- e-Taxダイレクト送信
作成した申告データを直接e-Taxで送信できます。
- 銀行・クレジットカード連携
取引データの自動取り込みに対応しています。
- 法令対応
インボイス制度や電子帳簿保存法に対応しています。
- 料金プラン
最大の特徴は、「フリープラン」が永年無料で提供されている点です。
基本的な白色申告機能はこのフリープランで利用可能です。
より手厚いサポートが必要な場合は、ベーシックプランやトータルプラン(有料、初年度割引あり)を選択できます。
弥生会計を支えるコア技術とコンプライアンス
弥生会計クラウドの利便性と信頼性を支える「スマート取引取込」と「スマート証憑管理」、そして法改正への対応について解説します。
スマート取引取込~データ入力の自動化で業務効率アップ~
「スマート取引取込」は、銀行口座の入出金明細、クレジットカードの利用明細、レシートや領収書の画像データ(AI-OCR機能を利用)などを自動で取り込み、仕訳作業を大幅に効率化する機能です。
全国の多数の金融機関、主要クレジットカード会社、電子マネー、POSレジシステム、請求書発行サービス「Misoca」など、幅広いサービスと連携可能です。
スマート証憑管理~電子帳簿保存法・インボイス制度に対応~
「スマート証憑管理」は、請求書や領収書などの取引証憑をクラウド上で一元的に保存・管理するサービスです。
アップロードされた証憑はOCR機能によって文字情報が自動で読み取られ、データ化されます。
このサービスは電子帳簿保存法やインボイス制度への対応において中心的な役割を果たし、対象となる弥生製品のユーザーであれば基本的に無料で利用できます。
日本の規制環境への対応:インボイス制度と電子帳簿保存法
インボイス制度と改正電子帳簿保存法は、近年の日本の会計・税務実務における大きな変更点です。
弥生会計の各製品は、これらの法制度に対応するためのアップデートが継続的に行われています。
弥生は、これらの法改正に関する特設サイトやガイド、FAQを豊富に提供し、ユーザーを支援しています。
ユーザーインターフェース(UI)と使いやすさ
弥生会計製品のUIや使いやすさについては、デスクトップ製品からの移行ユーザーには馴染みやすい一方、「かんたん取引入力」機能は初心者にも評価されています。
しかし、freeeやマネーフォワード クラウドといったクラウドネイティブな競合製品と比較すると、UIデザインが古く感じられたり、直感性に欠けるという指摘もあります。
新しい「弥生会計 Next」ではUI/UXの改善に注力しているとされています。
弥生会計の料金プラン詳細
弥生会計クラウドの各製品には複数の料金プランがあり、事業規模や必要なサポートレベルに応じて選択できます。
プラン構成と費用
弥生会計 Next (法人向け)
- エントリープラン:年額34,800円~+税(月額換算2,900円~+税)
- ベーシックプラン:年額50,400円~+税(月額換算4,200円~+税)
- エントリープラン:年額84,000円~+税(月額換算7,000円~+税)
やよいの青色申告 オンライン (個人事業主・青色申告向け)
- セルフプラン: 初年度無料、次年度以降 年額10,300円+税
- ベーシックプラン: 初年度無料、次年度以降 年額17,250円+税
- トータルプラン: 初年度半額、次年度以降 年額30,000円+税
やよいの白色申告 オンライン (個人事業主・白色申告向け)
- フリープラン: 永年無料
- ベーシックプラン: 初年度無料、次年度以降 年額11,500円+税
- トータルプラン: 初年度半額、次年度以降 年額21,000円+税
弥生会計のサポート体制
弥生製品が長年支持されてきた理由の一つに、充実したサポート体制があります。
クラウド製品においても「あんしん保守サポート」を中心に、多様なチャネルでユーザーを支援しています。
「あんしん保守サポート」の概要
「あんしん保守サポート」は、弥生製品利用者を対象とした有償の年間サポートプログラムです。
製品操作方法のサポート、法令改正対応プログラムの提供、クラウドサービス(データバックアップなど)の利用、業務ヘルプデスク機能などが含まれます。
多様なサポートチャネル
- 電話サポート: 業界最大規模のカスタマーセンターが対応します。
- メールサポート: 24時間365日問い合わせ可能です。
- チャットサポート: AIチャットボットと有人チャットサポートを提供しています。
- Web FAQ・オンラインリソース: 豊富なFAQが整備されています。
- 画面共有サポート: オペレーターがユーザーのPC画面を共有しながらサポートします。
- 業務相談: 上位プランでは、仕訳や確定申告などの専門的な相談も可能です。
弥生会計と競合製品の比較
クラウド会計ソフト市場には、freee会計やマネーフォワード クラウド会計といった有力な競合が存在します。
弥生会計の強み
- 導入コストの低さ(特に初期): 無料プランや初年度割引キャンペーンは競合と比較しても魅力的です。
- 充実したサポート体制: 特に電話サポートが比較的安価なプランから利用できる点は大きなアドバンテージです。
- 圧倒的な市場シェアと信頼性: 長年の実績とブランド認知度は、税理士との連携のしやすさにも繋がります。
弥生会計の弱み
- UI/UXのモダンさ: クラウドネイティブな競合製品と比較すると、UIデザインがやや古く感じられることがあります。
- オールインワン機能の少なさ: 請求書作成や給与計算などの関連業務機能が、基本プランに統合されていない場合があります。
【まとめ】弥生会計は自分のビジネスに最適か?
弥生会計は、日本の事業者にとって使いやすく、安心できる会計ソリューションを提供しています。
弥生会計は以下のユーザーの方におすすめです。
- スタートアップ・新規法人: 初期費用を抑えたい企業には「弥生会計 Next」がおすすめです。
- 個人事業主(青色申告): 「やよいの青色申告 オンライン」はコストパフォーマンスに優れています。
- 個人事業主(白色申告): 「やよいの白色申告 オンライン」のフリープランが最適です。
- 手厚いサポートを重視するユーザー: 弥生の有料プランは会計業務に不安がある方に心強い味方です。
どの会計ソフトが最適かは、事業の規模、業種、会計知識、予算によって異なります。
弥生会計の無料トライアルやフリープランを活用し、実際に操作感を試した上で、最も合う製品・プランを選択してください。