「マネーフォワード クラウド」は、個人事業主から大企業まで、あらゆる規模のビジネスのバックオフィス業務をサポートする統合型クラウドサービスです。
会計、請求書発行、経費精算、給与計算といった日々の業務を効率化し、ビジネスの成長を後押しすることを目指しています。
この記事では、「マネーフォワード クラウド」の概要、主要な機能、料金プランなど幅広く解説していきます。
「マネーフォワード クラウド」とは?

「マネーフォワード クラウド」がどのようなサービスで、どのようなユーザーを対象としているのか?
「マネーフォワード クラウド」の基本的な特徴を見ていきましょう。
サービス概要と主な特徴
「マネーフォワード クラウド」は、会計処理を中心に、請求書発行、経費精算、給与計算、勤怠管理など、バックオフィス業務に必要な多様なサービス群を提供しています。
これらのサービスがシームレスに連携することで、手入力作業の自動化やヒューマンエラーの削減を図り、業務効率の大幅な改善を目指しています。
クラウドベースであるため、導入コストを抑えつつ、場所を選ばずにアクセスできる柔軟性も魅力です。
頻繁に行われる法改正にも自動でアップデート対応するため、ユーザーは常に最新の法令に準拠した業務を行えます。
インボイス制度や電子帳簿保存法といった新しい制度への対応が求められる企業にとって大きなメリットです。
「マネーフォワード クラウド」は、単に個別のツールを提供するだけでなく、各サービスを連携させることでバックオフィス業務全体のプラットフォームとしての価値を提供しようとしています。
どんな人におすすめなのか?
「マネーフォワード クラウド」は、事業の規模や成長段階に応じて最適化されたプランを用意し、幅広いユーザー層のニーズに応えています。
個人事業主・副業を行う方
主に確定申告業務の簡素化を目的とし、会計初心者でも扱いやすいよう配慮された設計です。
日々の取引記録から請求書発行、契約管理まで、フリーランスや小規模ビジネスオーナーの基本的なバックオフィス業務をサポートします。
無料プランから始められる手軽さも特徴です。
小規模〜中小企業(従業員数50名以下が目安)
経理業務に加えて、人事労務(給与計算、勤怠管理)や経費精算など、バックオフィス業務全般の効率化を支援します。
主要11サービスがセットになったプランなどが提供されています。
IPO準備・中堅〜上場企業(従業員数51名以上が目安)
より複雑な会計処理や内部統制の強化、監査対応、グループ会社管理といった高度な要求に応えるクラウド型ERPソリューションを提供しています。
中核サービス「マネーフォワード クラウド会計Plus」では、仕訳承認ワークフローや詳細な権限設定、操作ログ管理といった内部統制機能が充実しています。
企業の成長ライフサイクルに合わせたスケーラブルなサービス提供体制を構築しており、初期ユーザーが事業の成長に伴って上位プランへ移行しやすい戦略が採用されています。
特に「IPO準備」を明確なターゲットとして打ち出している点は、高度な会計管理体制を求める成長志向の強い企業への訴求力を高めています。
「マネーフォワード クラウド」は何ができる?~主要サービスと機能~
「マネーフォワード クラウド」が提供する多岐にわたるサービス群の中から、主要なものとその機能を紹介します。
これらのサービスは単独でも利用可能ですが、連携させることでバックオフィス業務全体の生産性向上が見込めます。
会計(マネーフォワード 会計Plus / マネーフォワード クラウド確定申告)
これらは「マネーフォワード クラウド」の中核を成す会計関連サービスで、日々の記帳から決算、税務申告までをサポートします。
企業の規模やニーズに応じて「マネーフォワード クラウド確定申告」、「マネーフォワード クラウド」)、「マネーフォワード 会計Plus」が用意されています。
主な機能には以下のようなものがあります。
- データ自動取得・自動仕訳
国内2,300以上の金融機関(銀行、クレジットカード、電子マネー、ECサイトなど)と連携し、取引データを自動取得して仕訳作業を効率化します。
- AIによる仕訳支援
取得した取引明細や手入力情報に基づき、AIが勘定科目を提案し、仕訳候補を自動作成します。利用するほど学習し、提案精度が向上します。
- 決算書作成
貸借対照表、損益計算書などの主要な決算書を自動で作成し、決算業務の負荷を軽減します。
- 経営分析レポート
キャッシュフローレポートや収益レポートなど、経営状況を可視化する多様なレポートをリアルタイムで自動生成し、迅速な意思決定を支援します。
- 法令対応
インボイス制度や改正電子帳簿保存法など、最新の法令に自動アップデートで対応します。
特にAIによる自動仕訳と継続的な学習機能は、経理担当者が限られる中小企業にとって、記帳業務の効率化と人的ミスの削減に大きく貢献します。
また、経営分析レポート機能は、経営者が自社の財務状況を正確に把握し、データに基づいた意思決定を行う上で重要な情報を提供します。
請求書(マネーフォワード クラウド請求書)
見積書、納品書、請求書、領収書といった帳票の作成から送付(メール送信、郵送代行はオプション)までをオンラインで完結できるサービスです。
作成した請求データはクラウド会計と自動連携し、売掛金の発生仕訳や入金消込作業の効率化に貢献します。インボイス制度にも対応しています。
経費精算(マネーフォワード クラウド経費)
従業員の経費精算業務を大幅に効率化します。連携したクレジットカードや交通系ICカードからの明細自動取得、スマートフォンのカメラで撮影した領収書のOCRによるデータ化、駅名入力による交通費自動計算などが主な機能です。
申請から承認までのワークフローをスマートフォンアプリで完結でき、電子帳簿保存法にも対応しています。
給与計算(マネーフォワード クラウド給与)
給与計算、賞与計算、社会保険料計算、所得税計算といった煩雑な給与関連業務を自動化・効率化するサービスです。Web明細発行機能や銀行振込用のFBデータ作成機能も備えています。
マネーフォワード クラウド勤怠と連携することで、勤怠実績に基づいた手当の自動計算が可能です。
給与計算(マネーフォワード クラウド勤怠)
従業員の出退勤打刻、労働時間の自動集計、残業時間管理、有給休暇管理など、勤怠管理業務全般をサポートします。
クラウド給与と連携することで、勤怠データを給与計算にスムーズに反映できます。
「マネーフォワード クラウド」のその他のサービス
上記のほかにも
- マネーフォワード クラウドマイナンバー
- マネーフォワード クラウド債務支払
- マネーフォワード クラウド契約
- マネーフォワード クラウド人事管理
- マネーフォワード クラウド年末調整
- マネーフォワード クラウド年社会保険
など、バックオフィス業務を網羅的にサポートするサービスが提供されています。
これらのサービスが連携することで、情報の二重入力を防ぎ、業務プロセス全体の効率性とデータの正確性を高めます。
「マネーフォワード クラウド」の料金プラン
「マネーフォワード クラウド」の料金は、主に「基本料金」「従量課金」「オプション料金」の合計で構成され、事業規模や利用状況に応じて柔軟に選択できます。
個人向けプラン
個人事業主や副業を行う方向けのプランは、機能とサポート内容に応じて主に3段階で提供されています。
- パーソナルミニ
年額10,800円(税抜、月額換算900円)から利用可能で、確定申告書類作成や基本的な自動仕訳機能、メール・チャットサポートが含まれます。消費税申告機能は利用できません。
- パーソナル
年額15,360円(税抜、月額換算1,280円)から利用可能で、パーソナルミニの機能に加え、消費税申告機能(インボイス対応)、無制限のレシート撮影(一部従量課金)、全レポート閲覧、CSVエクスポートなどが可能です。
- パーソナルプラス
年額35,760円(税抜、月額換算2,980円)で、パーソナルの全機能に加え、電話による操作方法のサポート(クラウド確定申告の操作方法限定)が付きます。
法人向けプラン
法人向けプランは、従業員規模や必要な機能に応じて「スモールビジネスプラン」「ビジネスプラン」、そして大規模企業やIPO準備企業向けの「IPO準備・中堅〜上場企業向けプラン(エンタープライズプラン)」があります。
- スモールビジネスプラン
主に従業員数50名以下の小規模法人向けで、年額35,760円(税抜、月額換算2,980円)から。会計、請求書、経費精算など主要11サービスが含まれますが、各サービスの利用可能ユーザー数には制限があります。
※2025年6月1日より料金改定予定。
- ビジネスプラン
主に従業員数50名以下の小〜中小規模法人向けで、年額59,760円(税抜、月額換算4,980円)から。
スモールビジネスプランより多くの機能やユーザー数が基本料金内で利用可能です。
銀行振込用FBデータ作成や消費税申告書作成も可能です。※2025年6月1日より料金改定予定。
- IPO準備・中堅〜上場企業向けプラン(エンタープライズプラン)
従業員数51名以上の企業向けで、料金は個別見積もりです。
内部統制に対応した「マネーフォワード クラウド会計Plus」を含む高度な機能群と、専任担当者による導入・運用サポートが提供される場合があります。
「マネーフォワード クラウド」はスマートフォンでも使えるのか?
「マネーフォワード クラウド」は、場所を選ばない利便性を高めるため、主要サービスについてスマートフォンアプリ(iOSおよびAndroid)を提供しています。
アプリの提供状況
主に「マネーフォワード クラウド確定申告」、「マネーフォワード クラウド経費」などが提供されています。
「マネーフォワード クラウド」のWeb版サービスは、主要なWebブラウザに対応しており、スマートフォンやタブレットのブラウザからもアクセス可能です。
主なアプリの機能と使い勝手
法人会計業務に特化した専用アプリという形では明確な提供は確認されていませんが、既存アプリが一部業務をカバーしています。
- マネーフォワード クラウド確定申告
主に個人事業主向けです。
仕訳入力(レシート撮影OCR、金融機関連携)、確定申告書作成支援、経営分析レポート閲覧などが可能です。
初心者にも分かりやすいインターフェースを意識した設計ですが、法人利用時の機能やUIについてはWeb版が主となる可能性があります。
- マネーフォワード クラウド経費
法人利用を前提とした機能が充実しています。経費明細登録(連携カードからの自動取得、レシートOCR、交通費計算)、経費申請・承認ワークフロー、会計ソフトとの仕訳連携などがスマートフォンで完結できます。
法人向けの複雑な会計処理や詳細なレポート作成、内部統制関連機能などはWeb版での操作が中心となるでしょう。
スマートフォンアプリは、外出先での簡単な仕訳入力や経費精算、レポートの概要確認といった補助的な役割になるとおもいます。
困ったときのサポート体制
「マネーフォワード クラウド」は、ユーザーがサービスを円滑に利用できるよう、プランやニーズに応じたサポート体制を設けています。
プランごとのサポート窓口
提供されるサポートチャネルや条件は、契約プランによって異なります。
- 個人向けプラン
「パーソナルミニ」「パーソナル」では主にメール・チャットサポート(操作方法のみ)。
「パーソナルプラス」ではこれらに加え、クラウド確定申告の操作に関する電話サポートが付きます。
- 法人向けプラン
「スモールビジネス」「ビジネス」ではメール・チャットサポートが基本で、標準では電話サポートは含まれません。
「IPO準備・中堅〜上場企業向け」では専任担当者による導入・運用サポートが提供される場合がありますが、条件は個別契約によります。
- 有料電話サポート
月額980円(税抜)から利用可能な「マネーフォワード電話サポート」があり、クラウド会計など特定サービスを対象に、専用フォームからの問い合わせ後、折り返し電話連絡があります。
オンラインマニュアルやFAQ
各サービス専用の「使い方ガイド」や「よくあるご質問(FAQ)」が豊富に提供されており、基本的な操作方法からトラブルシューティングまで詳細な情報が網羅されています。
サポートサイトでは、全サービス共通情報や料金プランに関するFAQ、重要なお知らせ、メンテナンス情報などが分かりやすく整理されています。
専門家による導入・運用支援
標準サポートに加え、マネーフォワード自身や認定パートナー(税理士事務所、ITコンサルティング会社など)を通じて、より専門的な導入支援や運用コンサルティングサービスが有料で提供されています。
初期設定代行、データ移行支援、業務フローに合わせた運用提案、操作トレーニングなどが含まれ、料金は個別見積もりとなります。
「マネーフォワード クラウド」はどんな企業が導入している?
公式サイトでは、個人事業主から従業員数1000名超の大企業まで、多様な業種・規模の導入事例が紹介されています。
主な導入目的と効果としては、以下のような点が挙げられます。
- 業務効率化・自動化:確定申告、経費精算、請求書発行、給与計算などの時間を大幅に削減。
- ペーパーレス化の推進:紙ベースの書類管理から電子データによる一元管理へ移行。
- リモートワーク体制の実現:クラウドベースであるため、場所を選ばずに業務が可能。
- 内部統制強化・IPO準備:「マネーフォワード クラウド会計Plus」などを活用し、上場企業レベルの管理体制を構築。
- コスト削減:バックオフィス業務にかかる人件費や作業時間、紙・郵送コストなどを削減。
- 経営状況のリアルタイム可視化:経営判断の迅速化に貢献。
これらの事例は、「マネーフォワード クラウド」が企業の成長段階や課題に応じて柔軟に導入でき、業務プロセス全体の最適化と経営基盤の強化に貢献できる可能性を示しています。
他のクラウド会計ソフトとの違いは?
「マネーフォワード クラウド」の他に、freee会計と弥生会計が主要な競合サービスとして存在します。
freee会計
「簿記の知識がなくても使える」をコンセプトに、独自のUIで会計業務の自動化に注力しています。
特に経理初心者や小規模事業者に人気があります。請求書発行や経費精算機能も統合され、クラウドERPも提供しています。
多数の外部サービスとのAPI連携も積極的です。サポートはプランにより範囲が異なります。
弥生会計
長年のパッケージソフト実績があり、従来の会計ソフトに慣れたユーザーにも馴染みやすい操作感が特徴です。
手厚いサポート体制に定評があり、プランによっては仕訳相談も可能です。
金融機関連携や他の業務システムとの連携も進めています。初年度無料キャンペーンなどが頻繁に実施されます。
「マネーフォワード クラウド」は、これら競合と比較して、freee会計の「初心者向けの自動化志向」と弥生会計の「実務に即した操作性とサポート」の中間的な特性を持ちつつ、より広範なサービスラインナップと連携によるバックオフィス全体のプラットフォームとしての価値で差別化を図っていると言えます。
【まとめ】「マネーフォワード クラウド」の活用方法
「マネーフォワード クラウド」は、バックオフィス業務の広範囲をカバーし、それらを連携させることで業務全体の効率化を実現する強力なプラットフォームです。金融機関との豊富な連携 やAIによる自動仕訳、法改正への迅速な対応 は大きな強みです。
一方で、サポート体制については電話サポートが限定的である点、料金体系がオプションや従量課金を含めると複雑になる可能性がある点、スマートフォンアプリの法人会計機能が限定的である点は注意が必要です。
導入を検討する際は自社のニーズや規模を明確にし、料金プランを精査することが重要です。
無料トライアルを活用し、操作性や必要なサポートレベルを確認しましょう!
既存システムとのデータ連携の可否もポイントになります。
スモールスタートで効果を検証しながら段階的に利用範囲を拡大するアプローチや、必要に応じて専門家(マネーフォワード クラウド公認メンバーなど)の導入支援を活用することも有効です。
「マネーフォワード クラウド」は、企業の生産性向上と経営基盤強化に貢献し得るサービスですが、その多機能性を活かすためには、適切な計画と理解が不可欠です。