「ポイ活」は今や節約の常識になりつつありますね。店舗での買い物や、ネットショッピング、ポイントサイトなど貯める場所はさまざま。買い物をしたときに付与されるポイントのほか、アンケートに答えたり一定のタスクをこなして得られるものなどポイントの種類もさまざまあります。
なかでも、お得なポイント還元イベントを定期的におこなう楽天ポイントを貯めているという人は多いのではないでしょうか。ポイント還元を効率的に利用して、楽天ポイントせどりを副業としておこなっている人もいますよね。付与されたポイントの活用方法は、商品購入の際に使用するほか、現金化や投資の資金として使えるものもあります。
ただし、このようなポイ活で得たポイントも、場合によっては確定申告の必要があるので注意が必要です。必要な申告を怠ったり、申告内容に誤りや疑わしいと思われる点があれば税務調査の対象となる可能性もあります。
そこでこの記事では、楽天ポイントなどポイ活で得た収入について確定申告が必要になる場合を説明していきます。
申告が必要となるポイントの原則
国税庁では、課税対象となるポイントについて「経済的利益が発生した場合」としています。また、ポイントの取得方法で一時所得や雑所得など該当する区分が変わるため、申告が必要となる所得金額に違いがあります。
参考:No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い
非課税で申告の必要がないポイント
では、どのようなポイントが課税対象で、どのようなポイントは非課税になるのでしょうか?以下で原則非課税となるポイントを説明します。
貯めている状態のポイント
ポイントは使用せずに貯めている状態では課税されません。収入という経済的利益は発生していないとみなされるためです。
ドラッグストアなど店舗独自のポイント
ドラッグストアや街中のお店が独自に発行しているポイントの使用は、通常の商品購入時の「値引き」と同様、課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱うこととされています。
ただし、このようなお店のポイントも、商品の購入代金に充てるのではなく、一部ポイントサイトなどで利用可能な金融商品の購入などに充てた場合は値引きの意味合いとは異なるため、ポイントが課税対象の所得とみなされます。
課税対象となり申告が必要なポイント
次に、課税対象となるポイントについて見ていきましょう。
一時所得とみなされるポイント
一時所得というのは、営利目的の継続的な経済的利益はなく臨時的な所得です。ポイントで考えれば、ポイントサイトや懸賞で当選して獲得したポイントを使用した場合などが該当します。
また、ECサイトで商品を購入したときに付与されるポイントや、クレジットカードで支払った際に金額に応じて付与されるポイント、支払い時にポイントカードをスキャンしてもらうことで付与されるポイントなども該当します。これらは一時所得の算出時、使用した相当額を総収入に入れて計上します。
ポイントのほか、一時所得には以下のようなものも含まれます。
- 懸賞や福引きの賞金品
- 競馬や競輪の払戻金
- 生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金
- 法人から贈与された金品
- 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
- 資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出に充てられなかったもの
以上のように一時所得にとされるすべての所得をあわせて算出しますので、金額によっては確定申告が必要となります。
参考:No.1490 一時所得
雑所得とみなされるポイント
雑所得というのは、ほかのどの所得にも当てはまらない所得をいいます。一時所得には労働や役務の対価としての所得が含まれないのに対し、雑所得には、営利目的の継続的な労務や役務の対価が含まれます。
アフィリエイトで継続的にポイントを得るというような副業をおこなっている場合や、ポイントサイトなどで一定のタスクをこなすこと(アンケート回答など)で得られるポイントなどもこれに該当します。ポイントを得るために労務や役務をおこなったかどうかが判断の基準になります。
このほか、雑所得には以下のようなものも含まれます。
- 公的年金等
- 業務に係るもの
- 1、2以外のもの
1.の公的年金には年齢や年金額による控除額があり、2.の業務にかかるものと3.からは必要経費を差し引いたものが雑所得となります。一時所得同様、雑所得とされるすべての所得をあわせて算出しますので、金額によっては確定申告が必要となります。
参考:No.1500 雑所得
ポイ活で確定申告が必要になるケースを整理
「確定申告の必要の有無」「申告が必要になる所得額」は、給与を取得しているかどうかなどその人の働き方で異なります。ケース別に確認しておきましょう。
給与を取得している人(会社員など)
会社員やパート・アルバイトなど、給与を取得している人は、給与以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。ですが、一時所得と雑所得では申告が必要になる所得額が異なります。
結論からお伝えすると、
- 一時所得が合計90万円を超える場合
- 雑所得が合計20万円を超える場合
以上の場合に確定申告が必要になります。
一時所得と控除
一時所得には50万円までの特別控除があります。簡単に言うと、一時所得から必要経費を差し引き、その額が50万円を超えなければ申告の必要はないということになります。
50万円を超えた場合は申告が必要になりますが、一時所得のうち課税対象となる金額はその半分の額になることが、以下の式で求められます。
一時所得の課税金額=(所得-必要経費-特別控除最高50万円)×2分の1
上記の計算式に当てはめて考えると、給与以外の所得が20万円を超える一時所得の総額は90万円( (90万円-50万円)×2分の1=20万円 )であることがわかります。
雑所得と控除
雑所得には特別控除がありません。そのため、雑所得とみなされる所得の合計が20万円(必要経費を引いたもの)を超えた場合に確定申告が必要になります。
給与を取得していない人(専業主婦/主夫や学生など)
専業主婦(主夫)や学生などで給与所得のない人は、所得税の基礎控除を差し引いてもまだ所得ある場合に確定申告が必要となります。
結論からお伝えすると、
- 一時所得が合計146万円を超える場合
- 雑所得が合計48万円を超える場合
以上の場合に確定申告が必要になります。
一時所得と控除
一時所得からは50万円までの特別控除と、所得税の基礎控除である48万円(合計所得金額が2400万円以下の人)が差し引かれます。この控除額を引いたうえで、まだ所得が残っている場合に確定申告が必要となり、以下の式で課税金額が求められます。
一時所得の課税金額=(所得-必要経費-特別控除最高50万円)×2分の1
以上の式で算出した課税金額から、所得税の基礎控除48万円を引きます。そのうえで、まだ所得が残っている場合は確定申告の必要があります。
雑所得
雑所得には特別控除はありませんが、所得税の基礎控除である48万円を差し引くことができます。雑所得とみなされる所得の合計から48万円を引き、まだ所得が残っている場合に確定申告をおこないます。
個人事業主
給与所得の有無で考えるほかに、個人事業主である場合が考えられますが、個人事業主は会社での年末調整がありませんので自身での確定申告が必要です。ポイ活で得た課税対象となる所得を合わせて、所得税の基礎控除額の48万円を超えた場合は確定申告が必要になります。
ポイ活の確定申告は準備が大切
ポイ活やそのほかの副収入を得ている場合、確定申告の時期が来て慌てて申告の準備をおこなうのはとても大変です。細かな金額で出入りすることも多いポイ活などは、いかに日々準備をしておくかで確定申告の労力が決まるといっても過言ではありません。
以下にその注意点をまとめてみます。
すべてのポイントを合計して計算
ポイ活では複数のポイントサイトなどで複数の銘柄のポイントを貯めていることが多いですよね。確定申告の際は、これらすべてのポイントを合計して課税金額を算出します。
一時所得と雑所得にあらかじめ分けておく
上記で説明したとおり、一時所得と雑所得ではその課税金額の算出方法や控除に違いがありました。そのため、ポイ活のポイントを含めた所得について、一時所得と雑所得とであらかじめ分けておくと計算がラクになります。
ノートやエクセルシートなど、自分がわかりやすい方法で帳簿をつけて管理している人が多いようです。
ポイ活以外の副収入も忘れずに
一時所得や雑所得はポイ活だけではありません。そのほかの副収入がある人は、そのすべてを合計して計算することをお忘れなく。
まとめ
今回は、ポイ活で得た収入について確定申告が必要になる場合を説明しました。
ポイントについての課税については、ポイントの種類や使用方法、付与のタイミングなどが多岐にわたりそれぞれに基準を決めるのは大変なため、国税庁の見解においても曖昧な部分が多くあります。
本記事でも説明したようにアフィリエイトやポイ活で得たポイントは「雑所得」や「一時所得」となりますが、自身で開業している個人事業主が、事業関連で支出し、その時に得たポイントであれば「事業所得」の扱いになるということもあります。
クレジットカードのポイント付与についても、たとえば法人カードで事業に関連した支出をし、その時得たポイントは「法人税」となりますが、これも個人事業主の場合、カードを私的に使用した時と事業関連の支出で得たポイントの区別は難しくなりますね。
いずれにしても、現在定められている基準がありますので、それに則った正しい申告を行いたいですね。不要な税務調査などのリスクは避けたいですから、判断が難しい場合は、専門家である税理士に相談することで、解決していきましょう。