会社を設立したいけれど、「何をどこに提出すればいいのか分からない」「書類にミスがあったらどうしよう」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
特に初めての起業では、専門用語や複雑な会社設立の手続きや書類作成の流れに戸惑うことも少なくありません。
実際、記載ミスや書類の不備によって登記が差し戻され、予定していた開業スケジュールに影響が出るケースも少なくありません。
この記事では、会社設立に必要な書類とその準備方法について、具体的な注意点や実務のポイントを交えて詳しく解説しています。
はじめてでも安心!会社設立に必要な書類を一覧で確認
「会社を設立したいけれど、どの書類を準備すればいいのか分からない…」
そんなお声が少なくありません。ここでは、会社設立登記に必要な書類を一覧でご紹介いたします。
以下の表では、株式会社設立時に必要となる主要書類と、それぞれの概要をまとめています。
書類名 | 内容 | 作成・取得先 | 備考 |
---|---|---|---|
定款 | 会社の基本ルールを定めた書類 | 自社作成後、公証役場で認証 | 紙定款の場合は収入印紙4万円が必要 |
登記申請書 | 法務局に提出する申請書 | 自社作成または専門家に依頼 | 所定の様式あり |
登録免許税納付用台紙 | 収入印紙を貼付するための台紙 | 法務局または文具店で入手 | 登録免許税は資本金×0.7%(最低15万円) |
登記すべき事項を記載した書面またはCD-R | 登記事項(会社名・本店所在地等)を記載 | 自社で作成 | |
取締役の就任承諾書 | 役員が就任を承諾した証明書 | 取締役本人が署名 | 全役員分が必要 |
取締役の印鑑証明書 | 本人確認のための証明書 | 市区町村役場またはコンビニ取得 | 3ヶ月以内に発行されたもの |
払込証明書 | 資本金を払い込んだことの証明書 | 通帳のコピーと一緒に作成 | 代表取締役の預金口座が必要 |
印鑑届出書 | 会社実印の届出用紙 | 法務局提出 | 会社実印を事前に用意 |
会社設立に必要な書類は、どれも重要な役割を持っています。
とくに「定款」や「払込証明書」は、作成・認証・資金準備などの手順があるため、早めの準備が求められます。
また、書類ごとに作成のタイミングや取得先が異なるため、やみくもに進めると手戻りが発生する恐れもあるのです。
しかし、会社設立時に提出する書類の内容や作成順を正しく理解することで、ミスや再提出のリスクを減らせます。
この章では、各書類の概要と役割、そして効率よく準備を進めるためのポイントをご紹介します。
会社設立の最初の一歩!「定款」とは何か?
- 会社設立にあたり、経営のルールや組織の根幹を明文化する書類
- 公証役場にて認証が必要(株式会社の場合)
- 認証には紙・電子の2方式があり、紙定款は印紙代がかかる
定款は、会社設立において「事業の設計図」とも呼べる重要な書類です。
定款には会社の目的、商号、本店所在地、設立時の出資額や機関設計など、会社運営の基本事項を記載します。
株式会社の場合、この定款は「公証役場での認証」が義務付けられており、単に作成しただけでは効力を持ちません。
また紙で提出する場合は4万円の印紙税が必要ですが、電子定款ならこの印紙代が不要となります。
近年はコスト面や手間を抑える目的で、電子定款の利用が一般的になりつつあります。
専門のクラウドサービスや税理士事務所を通じて手続きを進めれば、初めての方でも電子定款の作成がスムーズに行えます。
また起業初期の段階では、定款の内容に悩まれる方も少なくありません。
しかし、定款は単なる形式的な書類ではなく、「どのような事業を行い、どのように経営していくか」を示す大切な土台です。
ここが曖昧だと、後の運営で方針にズレが生じたり、増資・事業拡大時に不都合が出ることもあります。
だからこそ、設立後の事業展開を見据え、専門家に相談しながら内容を吟味することをおすすめします。
法務局への提出必須!「登記申請書」の役割とは
- 会社設立の意思を正式に届け出るための申請書
- 法務局への提出が必須
- 記載ミスがあると受理されず、再提出となるため要注意
登記申請書は、会社設立登記を行うために最も基本となる書類です。
この書類を提出することで、はじめて法務局が「その会社が正式に設立された法人であること」を認めることになります。
記載すべき必要事項としては、会社名や本店所在地、代表者氏名、資本金の額、事業目的などがあり、会社の法的な基礎情報を網羅する必要があります。
これらの内容は、あらかじめ認証を受けた定款と一致している必要があります。
なぜなら、登記情報と定款の記載に差異があると「設立の意思に整合性がない」と判断され、登記申請が却下される可能性があるためです。
また、登記申請書の様式は、法務局のWebサイトからテンプレートをダウンロードして使用することができます。
特に初めて申請される方は、押印漏れや添付書類の不足、記入ミスといった小さな見落としで申請が受理されないケースが多くあります。
そのため、提出前にはしっかりとチェックや、法務局への事前相談などを活用して、正確な書類を作成するようにしましょう。
資本金にかかる税金を納める「登録免許税納付用台紙」
- 登録免許税の収入印紙を貼るための専用用紙
- 書類一式とともに法務局へ提出
- 不足や貼り間違いがあると申請が受理されないことも
登録免許税納付用台紙は、登記に必要な「登録免許税」を納付するために使う書類です。
この税金は資本金の0.7%(ただし最低15万円)と定められており、印紙で支払うのが一般的です。
この印紙を「登録免許税納付用台紙」に貼り、登記申請書などの必要書類とともに法務局へ提出することで、正式な登記手続きが完了します。
なお、印紙は法務局の窓口や、取り扱いのある一部の文具店で購入することができます。
印紙をどこに、どのように貼るかには明確なルールがあるため、初めての方は必ず事前に確認しておくと安心です。
例えば、指定の台紙を使用せず登記申請書の本紙に直接貼ってしまったり、そもそも印紙を貼り忘れてしまうと、法務局から書類が差し戻されてしまいます。
このような不備が原因で、会社の設立スケジュールが数日から数週間ずれ込んでしまうケースも実際にあります。
- 支払うべき税額が正確か(資本金の額に応じて)
- 印紙の貼付位置が正しいか(所定の台紙を使用しているか)
- 印紙がしっかり貼付されているか(はがれていないか、重なっていないか)
上記の3点を印紙を貼り付ける前に、必ず確認しましょう。
会社情報を正確に届ける「登記すべき事項」の書面とは?
- 会社名や所在地などの基本情報をまとめた書類
- 登記申請書とあわせて法務局に提出
- CD-Rで提出する場合はフォーマットや媒体の指定に注意
登記申請にあたっては、会社の基本情報を正確に法務局へ届け出る必要があります。
そのために提出するのが、「登記すべき事項を記載した書面またはCD-R」です。
これは、申請書では記載しきれない詳細情報を補完する役割を果たす、登記の中でも非常に重要な資料のひとつです。
「登記すべき事項を記載した書面またはCD-R」とは、法務局に会社の基本情報を届けるための補足書類です。
会社名・本店所在地・代表者氏名・資本金・事業目的など、登記上必要とされる情報を網羅的に記載します。
提出方法は2種類あり、紙媒体で提出する方法と、電子データ(CD-R)による提出があります。
現在では、電子化の流れによりCD-Rでの提出が一般的になってきていますが、紙での提出も引き続き認められています。
ただし、CD-Rで提出する場合は、法務局の指定するフォーマット(CSVやTXT形式など)や記録媒体の種類、ラベルの貼付位置などに細かな指定があるため、事前確認が不可欠です。
なお、この書類は「登記申請書」と記載内容が完全に一致している必要があります。
例えば代表者名の表記揺れや事業目的の文言の違いがあるだけでも差し戻される可能性があります。
そのため、定款・登記申請書・この書面の3つが矛盾なく整っているかを、第三者にダブルチェックしてもらうことをおすすめします。
就任の意思を明確に示す「取締役の就任承諾書」
- 取締役が自らの意思で就任することを示す書類
- 法務局に設立登記時に提出
- 記名押印と日付の記載漏れに注意
取締役の就任承諾書は、「会社の経営を担う意思があること」を明示するための書類です。
これは、実際に就任する人物が自発的にその役職を引き受けるという「法的な意思表示」であり、登記手続きにおいて欠かすことができません。
なぜこの書類が必要かというと、第三者による勝手な登記申請や、実態のない名義貸しを防ぐためです。
登記された人物が「知らないうちに役員にされていた」といったトラブルを未然に防ぐ目的があります。
そのため、本人自らが署名し、押印した証拠として就任承諾書を提出する仕組みになっているのです。
株式会社の設立時には、就任するすべての取締役についてこの書類が必要で、書類ごとに氏名・日付・印鑑の押印が求められます。
特に注意したいのは、以下のようなミスです
- 押印がかすれて印影が不鮮明
- 日付の記載が抜けている、または誤って未来日になっている
- 役職名(例:取締役・代表取締役)が未記載のままになっている
いずれも法務局では不備として扱われ、差し戻しの対象となります。
また、役員の人数に応じて就任承諾書の枚数も異なります。
たとえば取締役が3名いれば、それぞれ1通ずつ、合計3通を用意しなければなりません。
登記申請は「提出書類が一式揃って初めて受付される」という厳密なルールがあるため、一つでも欠けていると全体が差し戻されてしまうので注意しましょう。
本人確認の要「取締役の印鑑証明書」
- 就任承諾の信憑性を担保するための本人確認書類
- 法務局への提出が必要(登記申請時)
- 発行から3ヶ月以内のものが有効
取締役の印鑑証明書は、登記の正確性と信頼性を保つために必要な身分確認書類です。
取締役が就任を承諾したことを証明する「就任承諾書」に対し、その人物が実在し、本人であることを法的に裏付ける目的で提出が求められます。
この印鑑証明書は、市区町村の役場で取得できるほか、マイナンバーカードをお持ちであればコンビニでも取得が可能です。
ただし、発行日から3ヶ月以内のものでなければ、登記申請では無効とされてしまいます。
また、取締役が複数いる場合には、全員分の印鑑証明書を用意する必要があります。
とくに代表取締役の印鑑証明書は、会社実印の届出と密接に関係しており、印鑑届出書と照合されるため、氏名や印影に誤りがあると会社実印の登録自体が受理されない可能性があります。
そのため提出前には印鑑の印影や登録情報が正確であるか、念入りに確認しておきましょう。
なお、この印鑑証明書は「就任承諾書」とセットで提出しなければ、登記申請が受理されることはありません。
取締役本人が誰であるかを公式に証明する役割を持つため、「会社を支える人が誰なのか」を法務局に示す、非常に重要な書類です。
ひとつでも漏れていれば登記全体が無効となってしまいますので、抜けや不備がないよう、慎重に準備を進めましょう。
資本金の払い込みを証明する「払込証明書」
- 資本金が実際に払い込まれたことを証明する書類
- 登記申請時に、他の書類と一緒に法務局へ提出
- 通帳のコピー添付や口座名義の確認ミスに注意
払込証明書は、会社の資本金が確実に払い込まれていることを証明するための書類です。
会社設立時には、設立者(発起人)が定款に記載された出資額を払い込み、その事実を証明する必要があり、そのために作成・提出するのが「払込証明書」です。
この書類を提出することにより、資本金の裏付けが法的に認められ、登記の前提条件が満たされたと判断されます。
払込証明書の作成の際には、出資金をいったん代表取締役の個人口座に振り込むのが一般的な手順です。
会社設立前の段階では、法人名義の口座が存在しないため、代表者の個人口座を一時的に“資本金受け入れ先”とするのが実務上の慣例となっています。
この口座に関する証明として、通帳の表紙と、出資金の入金が記録されたページのコピーを添付し、払込証明書とともに法務局へ提出します。
これによって、実際に資金が振り込まれたことを、客観的に証明することができます。
「払込証明書」の作成時の注意点として、通帳の名義が代表者本人以外の名義であったり、入金元と金額の一致が確認できなかったりすると、出資の実態が不明瞭とされ、登記申請が受理されないことがあります。
さらに、振込日と登記申請日が大きく離れている場合、「設立手続きとしての一体性が保たれていない」と判断され、法務局から問い合わせや差し戻しを受ける可能性もあります。
設立登記は“会社としての最初の意思表示”となるため、資本金の払い込みから登記までの流れに一貫性があることが求められるのです。
そのため、出資金の振込と書類作成のタイミングは計画的に行い、登記申請までの期間をあけすぎないように注意しましょう。
スムーズな登記のためには、資金の流れと証明書類の準備をセットで管理することが大切です。
会社の「実印」を届け出る「印鑑届出書」
- 法務局に会社の実印を登録するための書類
- 登記申請時に必須の提出書類
- 実印の押し間違いや届出内容の記載ミスに注意
印鑑届出書は、「会社実印」を法務局に登録するための大切な書類です。
会社実印とは設立後の契約書や公的な申請書類に使う、法人としての「正式な印鑑」であり、いわば会社の「身分証明」とも言える存在です。
個人で使う認印や三文判と異なり、会社実印は法務局で登録されることで初めて、法的効力を持つものとして扱われます。
会社設立後、この会社実印を登録しておかないと、印鑑証明書の発行ができず、銀行口座の開設や不動産契約など、あらゆる正式な商取引が行えません。
そのため、登記申請と同時に印鑑届出書を準備・提出することが極めて重要です。
作成にあたっては、まず代表印(会社実印)を作成しておく必要があります。
印鑑届出書には、あらかじめ定められた押印欄が設けられており、その所定の位置に正確に押印することが求められます。
印鑑届出書の提出先は、会社設立登記を行う管轄の法務局です。
この印鑑届出が無事に受理されると、後日「印鑑カード」が交付されます。
このカードがあることで、今後は印鑑証明書の発行が可能になり、取引先との契約や行政手続きなどがスムーズに進められるようになります。
注意すべき点として、「印影がかすれて不鮮明」「押印位置が枠外にはみ出している」「届出書に誤字や記入漏れがある」といった、初歩的なミスが非常に多く見られます。
こうした不備によって法務局から差し戻されてしまうと、印鑑カードの発行が遅れ、その結果として銀行口座開設や契約締結などが後ろ倒しになり、業務開始に支障をきたす恐れがあります。
初めて印鑑登録をされる方は、法務局の記入例を参照しながら丁寧に作成し、提出前にはコピーを取って控えを残しておくと安心です。
この章では、会社設立に必要になる一般的な書類について詳しく解説しました。次の章では、ケース別に必要な追加書類についてご紹介します。
見落としがちな落とし穴?ケース別に必要な会社設立時の追加書類まとめ
会社設立の際、基本的な書類に加えて「条件によっては必要になる書類」が存在します。
以下では、合同会社の設立や発起人が複数いる場合など、ケース別に求められる追加書類を整理しました。
書類名 | 必要となるケース | 作成・提出先 | 備考 |
---|---|---|---|
発起人の決定書 | 発起人が複数いる場合 | 自社作成・法務局提出 | 代表取締役の選定内容を記載 |
資本金の計上に関する証明書 | 資本金に現物出資を含む場合 | 自社作成・登記時提出 | 現物の内容・評価額を明記 |
現物出資に関する財産引継書 | 現物出資を行うとき | 自社作成・法務局提出 | 資産の内容・数量・価格を記載 |
設立時代表社員の選定書 | 合同会社(LLC)を設立する場合 | 自社作成・法務局提出 | 代表社員を決定した内容を記載 |
就任承諾書(業務執行社員) | 合同会社の業務執行社員がいる場合 | 本人作成・法務局提出 | 印鑑証明書も併せて提出が必要 |
会社設立では、一般的な申請書類だけでなく、組織形態や出資方法、代表者の選定方法などに応じて上記の表のような追加書類が求められるケースがあります。
発起人が複数いる場合には「誰が代表取締役となるか」を明記した「発起人の決定書」が必要ですし、資本金に現物出資を含む場合は、その内訳と評価額を示す書類も必要です。
特に合同会社を設立する場合は、株式会社とは異なる運営ルールがあるため、代表社員の選定書や業務執行社員の就任承諾書など、特有の追加書類が発生します。
こうした追加書類は、見落とすと法務局からの差し戻しや、設立の遅れにつながることもあります。
ご自身の設立パターンに応じて、事前に必要な書類を整理しておくことが、スムーズな登記と事業開始につながるのです。
この章では「発起人の決定書」」「代表社員の印鑑証明(合同会社)」「外国人が設立する場合の追加書類」の3つについて詳しく解説します。
発起人が複数いる場合は必須!「発起人の決定書」とは?
- 発起人間で重要事項を合意した証明となる
- 複数発起人がいる場合に代表取締役の選定などを記録
- 書式に沿って正確に記載し、署名・押印が必要
発起人の決定書は、発起人が2名以上いる場合に「代表取締役の選定」や「本店所在地の確定」などの事項を正式に合意したことを記録する書類です。
株式会社の設立においては、こうした重要事項を曖昧にせず書面に残しておくことが、後のトラブル防止につながります。
この書類には、発起人全員の署名・押印が必要となり、作成後は登記申請書類の一部として法務局に提出します。
合同会社ではココが違う!代表社員の印鑑証明書の扱いに注意
- 合同会社では代表社員の印鑑証明書が必要になる
- 株式会社の代表取締役とは要件が異なるため混同に注意
- 書式も異なるため法務局指定の書類を確認して準備する
合同会社を設立する場合は、株式会社とは異なり「代表社員の印鑑証明書」の提出が求められます。
この印鑑証明書は、代表社員がその任に就く意思を明確にし、本人であることを証明する重要な書類です。
株式会社では「就任承諾書+印鑑証明」が基本ですが、合同会社では「社員」と「代表社員」という制度上の違いから、別書式の書類や記載方法が必要になることがあります。
この点を正確に理解していないと、書類の様式を間違えたり、押印が不適切だったりするなどして、法務局から差し戻されるケースが少なくありません。
特に注意すべきなのは以下のような具体的なミスです。
ミスの内容 | 具体的な例 | 問題となる理由 |
---|---|---|
書式の流用ミス | 株式会社用の就任承諾書を合同会社で使用してしまう | 合同会社には「取締役」が存在しないため、様式が根本的に異なる |
押印位置のずれ | 押印が枠外に出ていたり、印影がかすれてしまう | 法務局では印影の鮮明さと正確な位置が厳しく確認される |
氏名の表記ミス | 旧字体と新字体の混同や誤字脱字がある | 印鑑証明書と一致しないと、本人確認ができず申請が無効になる |
役職の混同 | 代表社員と業務執行社員の区別がされていない | 役職ごとに必要な書類が異なり、書類の整合性に支障が出る |
こうしたミスを防ぐには、まず法務局が公表している記入例や様式を確認し、正しいフォーマットをダウンロードして使用しましょう。
また押印の際は事前に練習を行い、印影が鮮明になるように気をつけてください。
外国人が会社を設立する場合に必要な追加書類とは?
- 在留カードや住民票など身分確認書類の提出が必要
- ビザの種類によっては事前に資格確認も必要になる
- 自治体や法務局によって提出書類に差があるため要確認
海外出身の方が日本で法人を立ち上げるには、通常の会社設立書類に加えて、本人確認や在留資格に関する追加書類の提出が必要になります。
以下のポイントを押さえて、スムーズな手続きにつなげましょう。
外国籍の場合に必要な追加書類
会社設立時には、在留カード、住民票(外国人記載あり)、パスポートのコピーなど、本人確認のための書類が必要です。
これらは、法務局が「実在する人物による登記申請であること」を確認するために求められます。
ビザ(在留資格)によって設立手続きが変わる
「経営・管理ビザ」の取得が必要な場合、一定の条件(事務所確保、投資金額、事業計画など)を満たす必要があります。
日本にすでに滞在している方と、新たに来日する方では必要な手続きが異なる点にも注意が必要です。
支援体制も活用しよう
設立時には、自治体によって提出書類や必要な項目にばらつきがあるため、事前に管轄の法務局へ確認することが重要です。
最近では、外国人起業家向けの「創業支援センター」や、外国語に対応した行政窓口も増えており、初めての方でも安心して相談できる環境が整いつつあります。
ただし、外国籍の方が日本で起業するというのは、決して簡単なことではありません。
「何から始めればいいかわからない」「ビザと会社設立の関係が不安」という方は、まずは専門家に相談しながら一歩ずつ進めることをおすすめします。
この章ではケース別に必要な会社設立時の追加書類について解説しました。
最後に、会社設立の書類を提出する際に気をつけたいミスや注意点についてご紹介します。
登記ミスで差し戻される前に!書類作成時によくある落とし穴一覧
会社設立の準備では、書類の不備による差し戻しが少なくありません。
実際によくあるミスとその対策を事例ベースでまとめました。
ミスの内容 | 発生しやすい書類 | 主な原因 | 主な原因 |
---|---|---|---|
押印漏れ・印影不鮮明 | 登記申請書、就任承諾書 | 確認不足や押印ミス | 提出前に印影をチェックリストで確認。鮮明に押印する |
日付の整合性ミス | 定款、登記申請書、払込証明書 | 作成日や提出日がバラバラ | 登記申請日に統一。事前に全書類の日付を揃える |
記載内容の不一致 | 定款と登記申請書、登記すべき事項 | 名称・金額・住所表記に差異 | 複数書類を横断的にチェックし、完全一致を確認 |
書類の順番・綴じ方の不備 | 提出書類一式 | 順不同やホチキス留めのミス | 法務局の提出順・綴じ方ルールを確認し従う |
証明書の有効期限切れ | 印鑑証明書、住民票 | 発行から3ヶ月超えてしまう | 提出直前に取得し、日付の有効性を確認 |
会社設立書類の準備では、内容を「正しく記載する」ことはもちろん大切ですが、実際には、それだけでは不十分です。
例えば印鑑がかすれていて印影がしっかり読み取れなかったり、書類同士で会社名や住所の表記が微妙に違っていたり、記入された日付にズレがある場合など、細かな部分の見落としが登記の差し戻しにつながるケースが多く見られます。
一見すると小さなミスですが、法務局ではひとつひとつの書類が「正式な証明書類」として扱われるため、少しの不備でも受理されない可能性があるのです。
また就任承諾書に代表印が押されていても、印影がかすれていたり、押印位置がずれていると、登記は受理されません。
さらに定款と登記申請書の会社名に微妙な違いがあるだけで、法務局から修正を求められるケースもあります。
こうしたリスクを回避するには、書類ごとではなく「全体」を横断的に見直すことをおすすめします。
書類の準備で迷わない!会社設立に必要な書類まとめ
会社設立の書類は、「正しく記載する」だけでは不十分です。
提出先や書式、印鑑の押し方、他書類との整合性など、注意すべき点が多岐にわたります。
- 定款や登記申請書など、設立時に提出すべき書類は多岐にわたる
- 書類ごとに作成手順や提出先、形式の違いがあるため注意が必要
- 内容の不一致や印影の不鮮明といった初歩的ミスで差し戻しが発生
- ケース別で追加書類が求められるため、自社の設立形態に応じた対応が必要
- 書類の整合性や提出順など、全体を横断的にチェックすることが重要
また、会社設立時の出資の方法や設立形態によっては、先に紹介したように追加で必要となる書類が発生します。
例えば、現物出資を行う場合には「財産引継書」や「資本金の計上に関する証明書」が必要ですし、合同会社を設立する場合には「代表社員の選定書」や「業務執行社員の就任承諾書」など、株式会社とは異なる書類が求められます。
このように、設立形態に応じた正確な書類の選定や作成が求められる中で、わずかな記載ミスや書類の不備によって登記が差し戻されることがあります。
その結果、会社の開業スケジュールが大きく遅れてしまうケースも少なくありません。
こうした会社設立に関わる煩雑な書類作成・提出業務に不安を感じている方、会社設立を検討されている方には、“一番頼れる税理士”を目指す「T-FRONT」が心強い味方となります。
会社設立に必要な書類の作成から提出サポート、そして設立後の税務・節税まで、ぜひお任せください。