会社を設立した直後、「次に何をすればいいのか」「手続きを漏らさず進められるか」と不安を感じていませんか?
税務・労務・社会保険・経理など、対応すべき項目は多岐にわたります。限られた時間の中で、正確に進めるのは大きな負担です。
この記事では、会社設立後に必要な手続きや準備項目を、カテゴリ別にわかりやすく解説しています。
【保存版】会社設立後にやることリスト|5カテゴリでわかりやすく整理
会社を設立した直後は、やることが山積みで混乱しがちです。
ここでは、手続きを5つのカテゴリに分類し、やるべきことをひと目で確認できるようにまとめました。
カテゴリ | 手続き内容 | 提出先 | 対応期限 |
---|---|---|---|
法務・登記 | 登記事項証明書の取得 | 法務局 | 設立後すぐ |
印鑑カード・印鑑証明書の取得 | 法務局 | 設立後すぐ | |
税務 | 法人設立届出書 | 税務署・県税事務所・市役所 | 設立後1ヶ月以内 |
青色申告承認申請書 | 税務署 | 設立後3ヶ月以内 | |
給与支払事務所等の開設届出書 | 税務署 | 設立後1ヶ月以内 | |
源泉所得税・消費税関連届出 | 税務署 | 適宜 | |
労務・社会保険 | 健康保険・厚生年金保険の新規適用届 | 年金事務所 | 事実発生から5日以内 |
労働保険関係成立届 | 労基署 | 雇用後10日以内 | |
労働保険 概算保険料申告書 | 労基署 | 雇用後50日以内 | |
雇用保険適用事業所設置届 | ハローワーク | 雇用後10日以内 | |
雇用保険 被保険者資格取得届 | ハローワーク | 雇用翌月10日まで | |
金融・経理 | 法人用銀行口座の開設 | 各銀行 | 設立後すぐ |
会計・給与ソフトの導入 | 自社対応 | 1ヶ月以内 | |
資金繰り表・予算管理体制の整備 | 自社対応 | 初月内 | |
社内整備 | 就業規則の作成・届出 | 労基署 | 常時10人以上雇用時 |
名刺・Webサイト・パンフレットの作成 | 自社対応 | 設立後3ヶ月以内 | |
電話番号・ドメイン取得などIT環境整備 | 自社対応 | 設立後3ヶ月以内 |
会社設立後の手続きは確かに多く、どれも見落としては行けないものばかりです。
しかし、上記の表を参考に各タスクの優先度やカテゴリごとに整理することで、やるべきことがはっきり見えてきます。
特に、提出期限が決まっている「税務」「労務」は早めに対応することが重要です。
社内整備や経理体制は少し余裕を持って進めることができますが、放置せず計画的に取り組みましょう。
この章では、会社設立に必要な5つのカテゴリについて詳しく解説します。
法務・登記:会社のスタート地点、最初に行うべき公式な手続き
- 登記事項証明書・印鑑証明書は、他の手続きでも必要になる基本書類
- 取得のタイミングが遅れると、その後の行政手続きに支障が出る
- 書類の保管や再取得の手段も事前に確認しておくことが重要
法務・登記は、会社が正式に「法人」として認められるための基礎となる手続きです。
設立登記が完了したあとには、登記事項証明書や印鑑証明書を法務局で取得します。
これらの書類は、銀行口座の開設や税務・社会保険の手続きにも必要となるため、できるだけ早く取得しておくことが望ましいです。
また、印鑑カードは法人印を公的に証明するためのツールのため、紛失や盗難には十分注意し、複数枚取得できる証明書類は、事業に応じて使い分けができるよう準備しておきましょう。
最も期限に厳しい!税務の基本届け出
- 法人設立届出や青色申告の申請は1〜3ヶ月以内に対応が必要
- 税務署・都道府県税事務所・市区町村の三か所に提出する必要あり
- 書類の記入漏れ・期限遅れは税務調査リスクや損失につながる
税務手続きは、会社設立直後から最も注意が必要な分野です。
まず、法人として税金の管理対象となるために「法人設立届出書」を税務署、都道府県税事務所、市区町村役場に提出します。
さらに、節税メリットのある「青色申告承認申請書」は3ヶ月以内に提出しなければ適用されません。
また、給与支払いの有無にかかわらず「給与支払事務所等の開設届出書」や、源泉所得税関連の届出も忘れずに対応する必要があります。
期限を過ぎた場合、罰則やペナルティが発生するケースもあるためご注意を。
労務・社会保険:雇用があるなら即対応!人を守る法的義務
- 健康保険・厚生年金の手続きは原則5日以内と非常に早い
- 労働保険や雇用保険は、雇用した日から10日以内に届出が必要
- 手続きの遅れは従業員トラブルや行政指導につながる恐れあり
会社設立後の労務・社会保険の対応は、社員を雇うなら避けては通れない手続きです。
健康保険・厚生年金への加入手続きは、設立後5日以内というタイトな期限が設けられており、スピード感をもって対応を行う必要があります。
また従業員の雇用が発生する場合には、雇用保険・労働保険の適用届や資格取得届も速やかに行いましょう。
これらの手続きが遅れると、従業員とのトラブルや行政からの指導、場合によっては保険給付が受けられないなどのリスクもあるため、税理士や社労士に早期相談するのが安心です。
金融・経理:資金管理の第一歩は、口座と会計体制から
- 法人口座の開設は事業運営の基本。登記完了後すぐ行う
- 会計ソフト・給与ソフトの導入で初期から経理を可視化
- 資金繰りの見える化で、黒字倒産を防ぐ体制を作る
金融・経理の整備は、事業を円滑に運営するための「経営の土台」となる要素です。
会社を設立した直後は、売上がまだ安定しない中で、支出は確実に発生します。
そうした時期だからこそ、資金の動きを正確に把握する仕組みづくりが欠かせません。
まず、法人名義の銀行口座を早期に開設することで、個人口座との区別が明確になり、資金管理がしやすくなるだけでなく、取引先からの信用も得やすくなります。
次に、経理業務にはクラウド会計ソフトの導入をおすすめします。
日々の仕訳や帳簿の作成、売上・支出の管理が自動化され、手間やミスを大幅に減らすことができます。
さらに、月次での資金繰り表や予算管理を行うことで、将来の支払いに備えたり、事業の方向性を見直す判断材料にもなります。
会社摂理後の数字を可視化し、冷静に経営判断を下せる体制こそが、企業の成長と継続性を支える鍵なのです。
【社内整備】見た目も中身も整える。信頼を築く準備期間
- 就業規則は常時10名以上雇用時に義務。ただし早期整備が望ましい
- 名刺・Webサイトは取引先への第一印象に直結
- IT環境や社内制度の整備で生産性と信頼感をアップ
社内整備は、会社の信頼性や組織力を高めるための「内側の準備」です。
まず取り組むべきは、就業規則や勤怠管理などの社内ルールの明文化です。
従業員数が10名未満でも、業務時間や休暇の取り方、報酬の支払いルールを明確にしておくことで、不要なトラブルを防ぎ、経営判断の軸がぶれなくなります。
次に、外部との接点となる「会社の顔」の整備も重要です。
名刺や会社のWebサイト、メールアドレスなどのブランディング要素は、取引先や顧客に対して信頼感を与える最初のポイントになります。
こうした社内と対外の両面を設立初期から丁寧に整えることで、信用を得やすくなり、組織としてスムーズなスタートダッシュを切ることが可能になります。
上記の会社設立後にやるべき主な5項目を理解したら、次は1つひとつの会社設立後のタスクについて詳しく解説します。
設立直後に最優先で取りかかるべき法務手続きとは?
会社を設立したその日から、経営者がまず最初に行うべき大切な作業があります。
それが、法務局で行う一連の手続きです。以下のポイントを確認し、抜け漏れなく対応しましょう。
法務・登記:設立直後にやるべきこと
- 登記事項証明書は、法人の存在を公的に証明する書類として必須
- 印鑑証明書は、契約や金融機関手続きなど幅広く利用される
- 印鑑カードを取得しないと、印鑑証明書の発行ができない
- 書類は複数枚取得しておくと、後の手続きで再度取りに行く手間が省ける
- 登記完了後、できるだけ早めに法務局へ出向くことが望ましい
会社設立が完了したら、まず最初に取りかかるのが法務局での手続きです。
ここで発行される登記事項証明書は、「法人として存在していること」を証明するための正式な書類です。
これがなければ、銀行口座の開設や税務署への届出、契約書の締結すら進められません。
また、法人印の証明となる印鑑証明書を取得するには、先に印鑑カードの交付を受ける必要があります。
こうした一連の書類は、会社設立後のあらゆる場面で使用することになるので、最低でも各2~3部ずつ取得しておくのが現実的です。
経営のスタートラインに立った今、まずは「会社として動ける状態」を形に整えていきましょう。
まず最初に取得すべき、会社の「身分証明書」
- 登記事項証明書は、法人の存在を公的に証明する重要書類
- 金融機関や行政機関の多くで提出が求められる
- 取得時は「履歴事項全部証明書」の形式で請求するのが一般的
登記事項証明書は、会社の「身分証明書」ともいえる書類です。
法人名・所在地・役員情報・資本金など、登記された内容がすべて記載されており、設立直後から頻繁に使用することになります。
特に、法人名義の銀行口座を開設する際や、行政機関へ届出をする際には、ほぼ必ず提出を求められます。
請求の際は「履歴事項全部証明書」を指定し、設立時点の全情報が含まれる形で取得しましょう。
印鑑証明は「法人の署名」を証明する書類です
- 印鑑証明書の取得には、まず印鑑カードの交付が必要
- 契約書や銀行口座開設など、実務で頻繁に使用される
- 印鑑カードは紛失すると再発行が手間なので、厳重な管理を
法人としての印鑑(会社実印)を証明するためには、法務局から「印鑑カード」を取得しなければなりません。
印鑑カードがあって初めて「印鑑証明書」を発行できるようになります。
印鑑証明書は、金融機関との契約書類や、各種届出書類で法的効力を持つ文書を作成する際に必要となる書類です。
とくに設立直後は、代表者名義ではなく法人名義での手続きが増えるため、印鑑カードと証明書は早めに準備しておくべきです。
また、印鑑カードは再発行に時間がかかるため、社内での保管方法にも十分注意してください。
税務関連の届け出|設立直後に対応すべき4つの基本手続き
会社を設立したら、税務署や地方自治体への届け出が必要です。
これらの手続きは期限が明確に決められているため、早めの準備が成功への第一歩となります。
税務関連の手続きの5つのポイント
- 法人設立届出書は、税務署・県税事務所・市役所に提出する必須の書類
- 青色申告承認申請書を出すことで、節税メリットのある申告方式が選べる
- 給与支払事務所等の開設届出書は、従業員を雇う場合に必要となる
- 源泉所得税・消費税関連の届出は、会社の課税区分に応じて提出を検討
- 書類ごとに提出先と期限が異なるため、チェックリストでの管理が有効
法人を設立した段階で、税務署や地方税務機関に対して、法人としての届け出を行う必要があります。
中でも「法人設立届出書」は必須であり、税務署・県税事務所・市区町村の三か所へ、それぞれ決まった期限内に提出しなければなりません。
さらに「青色申告」を希望する場合は、「青色申告承認申請書」を原則3ヶ月以内に提出しましょう。
提出が遅れると、1年目から適用が受けられない点に注意が必要です。
また、役員や従業員への給与支払いが発生する場合には、「給与支払事務所等の開設届出書」もあわせて提出します。
源泉所得税や消費税に関する届出については、課税区分や事業内容によって任意となることもありますが、早期に判断しておくことで後の負担軽減につながります。書類ごとに提出先や期限が異なるため、専門家と連携しながらチェックリストを活用して進めると安心です。
法人としてのスタートに必要不可欠な「法人設立届出書」
- 設立日から1ヶ月以内に、税務署・県税事務所・市役所の3か所に提出が必要
- 会社の基本情報、役員、資本金などを記載した書類を作成
- 提出漏れにより、後の税務手続きが滞る恐れがあるため早めの準備を
法人設立届出書は、会社が「納税者として登録される」ために欠かせない初期手続きです。
提出先は1か所ではなく、国税(税務署)、地方税(都道府県税事務所・市区町村役場)の3か所にそれぞれ提出する必要があります。
会社の基本情報や事業目的、役員構成、資本金などの情報を記載した様式を用意し、必要書類を添付して提出します。
この際に、書類の不備や提出遅れがあると、法人番号の通知や今後の税手続きに影響が出ることがあるので、会社設立後はできる限り早めに準備を進め、正しい情報で申請を行いましょう。
節税対策の第一歩「青色申告承認申請書」
- 設立日から3ヶ月以内に提出しないと初年度の青色申告が適用されない
- 節税効果のある損失繰越や特別控除が受けられるようになる
- 会計帳簿の整備や保存義務があるため、事前準備も重要
青色申告承認申請書は、法人にとって最も基本的な節税制度を利用するための届出です。
この書類を提出することで、最大で10年間の欠損金の繰越控除や、特別控除などの優遇措置が受けられるようになります。
ただし、提出期限は「設立から3ヶ月以内または第1期の事業年度終了日の前日まで」と決められており、これを過ぎてしまうと初年度から青色申告が適用されません。
また、帳簿の記帳や書類保存が義務づけられるため、会計ソフトの導入などを視野に入れた事前準備も重要です。
給与を支払うなら必須「給与支払事務所等の開設届出書」
- 従業員や役員に給与を支払う場合は、設立後1ヶ月以内に提出が必要
- 給与支払に関する税務処理(源泉徴収)の開始を税務署に通知する書類
- 無提出のまま給与を支払うと、源泉所得税未納扱いになるリスクがある
「給与支払事務所等の開設届出書」は、会社が役員や従業員に対して給与を支払う際に、税務署へその事務所の存在を知らせるためのものです。
この書類を税務署に提出することで、源泉徴収義務者としての登録が行われ、給与支払いに関する税務管理がスタートします。
「給与支払事務所等の開設届出書」を提出せずに給与を支払ってしまうと、源泉徴収漏れとみなされ、加算税や延滞税が課される恐れがあります。
特に初年度は「役員報酬」の支払いを予定している会社が多いため、早期にこの届出を済ませておくことでリスクを未然に防ぐことができます。
事業規模と方針に応じた判断が必要「源泉所得税・消費税関連届出」
- 源泉所得税の届出では、納期特例申請を行うことで納付回数を年2回に軽減可能
- 消費税の届出は、課税売上見込みやインボイス制度への対応状況により、免税か課税かが決定される
- 消費税届出の選択は、経営の税務効率や資金繰りに大きな影響を及ぼすため、十分に検討を
源泉所得税に関する届出では、「納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで、毎月納付の義務が年2回に軽減されます。
人件費の発生が少ない創業期には、事務負担を抑える有効な手段です。
消費税に関しては、設立直後の法人であっても、資本金や届出の有無によって「免税事業者」となるか「課税事業者」となるかが異なります。
特に、課税事業者を選択した場合には、消費税の還付やインボイス制度対応などに関わる実務も発生します。
資金繰りや経理体制に影響を与える部分ですので、税理士と相談しながら方針を定めることをおすすめします。
社会保険・労働保険の届出は、経営者の「雇用責任」を果たす第一歩
法人として従業員を雇う際には、複数の社会保険・労働保険に関する届出が必要となります。
提出期限が非常に厳格なため、以下の項目を確認し、早めの準備を進めておきましょう。
社会保険・労働保険関係の手続き
- 「健康保険・厚生年金保険の新規適用届」は、法人設立後すぐに必要となる重要な手続き
- 「労働保険関係成立届」は、従業員を雇った翌日から10日以内に労基署へ提出
- 「概算保険料申告書」は、労働保険料を見積もりで納付するための届出で、50日以内が期限
- 「雇用保険適用事業所設置届」は、事業所としての適用をハローワークに申告するもの
- 「雇用保険 被保険者資格取得届」は、従業員ごとに雇用月の翌月10日までに提出が必要
法人を設立し、従業員や役員に給与を支払う場合には、健康保険や厚生年金保険への加入が義務づけられます。
その際に必要なのが「新規適用届」です。これは設立・給与支払いの事実から5日以内という、非常に短い期限での対応が求められます。
また、雇用が発生した場合には、労働保険(労災保険と雇用保険)の加入手続きも同時進行で行わなければなりません。
「労働保険関係成立届」は10日以内、「概算保険料申告書」は50日以内が提出期限です。
さらに、事業所として雇用保険の適用を受ける「適用事業所設置届」や、個人単位で加入させる「被保険者資格取得届」も、別々に管理が必要です。
これらの手続きを怠ると、保険未加入状態で従業員に万一の事故があった場合、会社に重大な責任が生じる可能性もあります。
雇用したその瞬間から、経営者には「従業員を守るべき制度」を整える義務があることを、しっかり意識して対応しましょう。
法人設立時に必須の届け出「健康保険・厚生年金保険の新規適用届」
- 法人は従業員の有無にかかわらず、社会保険の適用が義務
- 設立・雇用の事実から5日以内に年金事務所へ提出が必要
- 提出遅れは加入日が遅れ、保険料の遡及徴収リスクがある
法人を設立した時点で、たとえ役員一人でも給与支給があるなら社会保険の加入が必要です。
この届出は「会社として社会保険に加入します」と宣言するもので、年金事務所に対して行います。
提出期限は原則「事実発生から5日以内」と非常に短いため、設立登記後すぐのタイミングで準備しておくことが重要です。
もし遅れてしまうと、保険料を過去に遡って徴収されることもあるため、最優先で取り組むべき手続きのひとつです。
雇用が発生したら必ず必要「労働保険関係成立届」
- 雇用開始から10日以内に労働基準監督署へ届け出る義務
- 労災保険と雇用保険の基盤となる初期手続き
- 労働者を守る制度設計として、未提出は重大な法令違反
この申告書は、労働保険料(労災+雇用)を「概算」で申告・納付するための書類です。
設立・雇用開始から50日以内に提出し、見込みの賃金額をもとに保険料を前払いする形式を取ります。
年末には「確定申告」で実際の賃金額と照合して精算を行います。もし初回の申告額が不適切だった場合、後で追加納付が発生したり、罰則を受ける可能性もあります。
そのため、設立時は顧問社労士に相談のうえ、見込み額を慎重に設定することが望まれます。
雇用保険の土台を築く「雇用保険適用事業所設置届」
- 事業所単位で雇用保険の適用を申請する書類
- 雇用後10日以内にハローワークへ提出が必要
- 届出がないと、従業員の雇用保険資格取得ができない
この手続きは「この会社で雇用保険制度を開始します」という事業所単位の登録申請です。
新規設立の法人で、初めて従業員を雇った場合には、ハローワークに10日以内で届け出る必要があります。
この手続きが済んでいなければ、従業員の個別登録(資格取得)も行えないため、後続の手続きがすべて滞ります。
「従業員を守るための制度導入」として、まず最初にこの届出から確実に行ってください。
一人ひとりの保険加入「雇用保険 被保険者資格取得届」
- 各従業員の雇用保険加入手続きとして、雇用の翌月10日までに提出
- 賃金台帳・雇用契約書の内容をもとに記載する
- 遅延や誤記載は、失業給付・助成金の支給に影響が出る
従業員が雇用保険の「被保険者」として登録されるための手続きがこの届出です。
ハローワークに対して、雇用開始月の「翌月10日まで」に提出する必要があり、雇用契約書や給与情報をもとに記載します。
手続きを怠った場合、従業員が失業給付を受けられなかったり、会社として助成金の申請ができなくなる可能性があるので、ご注意を。
「見えない信頼」を築くための社内整備とは?
社内整備は、外部からの信用を高めるだけでなく、社内の組織運営を円滑にするための重要な基盤です。
ここでは、会社設立直後から3ヶ月以内に対応したい項目を整理しました。
社内整備で対応すべき項目
- 就業規則は、常時10人以上の従業員を雇う場合に労基署への届出が必要
- 従業員が少ない企業でも、社内ルールを明文化しておくとトラブル回避につながる
- 名刺・パンフレット・Webサイトは、会社の第一印象を左右する「対外の顔」になる
- 電話番号やドメイン取得は、取引先との信頼性確保に直結する基盤インフラ
- 設立後3ヶ月以内を目安に、社内外の整備を計画的に進めることが望ましい
会社の設立後、法的な手続きを済ませたら、次は「社内の仕組みと見た目」を整える段階に入ります。
仮に従業員を10人以上雇用する予定がある場合には、就業規則を作成し、労働基準監督署へ届出を行う必要があります。
たとえ10人未満でも、勤務時間や休暇制度などを社内ルールとして明文化しておくことで、トラブルを未然に防げます。
また、名刺・パンフレット・Webサイトといったクリエイティブ要素は、対外的な印象を左右する大切な“会社の顔”です。
さらに、電話番号やメールドメイン、クラウド環境などIT面の整備も、取引先とのやりとりや業務効率に直結する大切な準備です。
これらの準備を後回しにしてしまうと、外部から「組織として整っていない会社」と見られる可能性もあります。
設立後3ヶ月以内を一つの目安とし、社内外の整備を同時並行で進めていくことをおすすめします。
従業員との信頼関係を築く「就業規則の作成・届出」
- 常時10人以上の従業員を雇う場合は、労働基準監督署への届出が義務
- 勤務時間・休暇・服務規律など、会社内のルールを明文化する必要がある
- 形式や内容に不備があると、労基署から指導や再提出を求められる
就業規則は、従業員と会社がともに安心して働けるための“共通ルール”です。
法的には、常時10人以上の労働者を使用する事業所では、作成・届出が義務となります。
ただし、10人未満であっても、勤務ルールが曖昧だとトラブルの火種になります。
そのため、あらかじめ就業時間、休暇、賞与、服務規律などの規定を作成し、周知することで、経営者自身も公平で一貫性ある判断がしやすくなります。
「顔」がなければ始まらない!名刺・Web・パンフレットの整備
- 名刺・会社案内・Webサイトは、対外的な第一印象を決める重要要素
- 名称やロゴ、連絡先の表記ミスは信用低下につながる可能性がある
- 「見せ方」が企業の世界観・価値観に直結するため、デザインも重要
創業初期こそ「会社としての顔」を整えることで、外部からの信頼感を高める大切な営業活動の一部です。
とくに名刺や会社案内、ホームページは、初対面の取引先が会社を判断する基準のひとつとして、見栄えの良いものを準備しましょう。
また代表者の名前や所在地、事業内容などに誤記があると、それだけで「信頼できない会社」という印象を与えてしまいます。
設立後3ヶ月以内を目安に、必要なツールを整え、ブランディングや想いを込めたデザインにすることも大切です。制作は外注も視野に入れて検討しましょう。
「連絡がとれる体制」を早めに整備「電話番号・ドメイン・IT環境」
- 代表電話やメールドメインは、対外的な信頼性を示す基本インフラ
- 携帯電話やフリーメールはビジネスでは不利な印象を与えることがある
- クラウドツールやグループウェアの整備で、業務効率化も促進される
電話番号やメールアドレスが「個人名義」のままだと、取引先にとっては不安材料になり得ます。
特にメールアドレスは、独自ドメインを取得して運用することで「会社の信頼性」を高めることになります。
また、Google WorkspaceやMicrosoft 365などのクラウドサービスも早期に導入しておくと、社内の情報共有や業務効率化にもつながるでしょう。
会社設立後の手続き、どこから着手すべきか迷っていませんか?
会社設立後には、法務・税務・労務・経理・社内整備といった多岐にわたる手続きが一気に押し寄せます。
手間がかかる上に、どれも期限付きでミスの許されない内容ばかりです。
会社設立後にやるべきこと
- 登記・印鑑証明・法人口座開設など、初動のミスが後の業務に直結する
- 税務関連は提出期限が厳しく、青色申告などの節税対策も早期判断が必要
- 労務・社会保険の届出は法定期限が短く、遅延すると罰則や従業員トラブルに発展する
- 経理や資金繰りの体制は初期段階で整えることで、経営の可視化と信用向上が可能
- 社内整備は「会社の顔」をつくる作業。信頼を得るために早めの対応が鍵となる
この記事をお読みいただいた経営者の皆様は、今まさに「何から始めれば良いのか」「手続きを漏らさずに進められるか」といった不安をお持ちかもしれません。
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