税務調査が入るとどうなる?税務調査の流れと対応ポイントを解説!


税務調査と聞くと、多くの方が「何をされるのだろう?」「尋問のように詰められるのでは?」と不安を感じるのではないでしょうか。調査官が家の中をひっくり返すイメージや、何が何でも追徴税を取られるのではないかという恐怖を抱く方も少なくありません。

しかし、税務調査は必ずしも脅威ではありません。その目的は、事業者が適切な税金を申告し、納税しているかを確認すること。調査官は法律に基づいて行動し、過剰な取り立てを行うことはありません。

この記事では、税務調査の流れを丁寧に解説し、何が行われるのかを具体的にお伝えします。また、調査中に不安を感じたときの対処法や、スムーズに乗り切るためのポイントについても触れています。これを読むことで、調査に対する不安を解消し、冷静に対応できる力を養うお手伝いをします。

それでは、税務調査がどのようなものか、一緒に見ていきましょう!


税務調査とは?


税務調査とは、税務署が事業者や個人が適切に税金を申告し、納付しているかを確認するための手続きです。その目的は、法律に基づき正しい税務申告を促すことであり、不必要に脅かすことではありません。



任意調査と強制調査の違い


税務調査には任意調査と強制調査の2種類があります。


任意調査


通常の税務調査は「任意調査」と呼ばれ、事前に調査日程が通知されます。この調査は、対象者が自発的に協力することを前提に行われます。


強制調査

一方、「強制調査」は悪質な脱税の疑いがある場合に行われるものです。これは「マルサ」と呼ばれる調査で、裁判所の許可を得て強制的に実施されます。一般的な税務調査とは異なり、ほとんどの人には関係がありません。


税務調査が行われる頻度と対象者の特徴


税務調査が行われる頻度は、法人では数年に一度程度、個人事業主ではさらに低い頻度です。ただし、以下の場合は調査対象になりやすい傾向があります。


  • 大幅な利益増減がある
  • 過去に申告漏れがあった
  • 他の事業者との取引に関連して調査が必要と判断された


税務調査は、適切に対応すれば怖がる必要はありません。次のセクションでは、具体的な調査の流れについて説明します。


税務調査が入るときの流れ


税務調査は、事前通知から調査終了後の対応まで、以下のような流れで進みます。

(1) 調査通知


税務署からは電話や郵送で連絡があり、通常1週間から数週間先の調査日程が指定されます。通知内容には、過去3年分の所得税や消費税申告などの調査対象年度と、事務所、自宅、または税務署などの調査場所が含まれています。


(2) 調査準備


調査に備え、帳簿、領収書、契約書、通帳など必要な書類を揃え、整理しておきます。不備があれば早めに確認することが重要です。また、この段階で税理士に相談すると、プロのサポートにより調査当日の負担を軽減できます。


(3) 当日の調査の流れ


調査当日は調査官が訪問し、帳簿や領収書の確認、経費や売上に関する質問への対応、場合によっては追加書類の提出依頼が行われます。通常、調査は数時間から1日程度で終了し、威圧的な尋問や家の中を荒らすような行為は一般的にはありません。ただし、法人の調査の場合は2~3日程度かかることが多いです。


(4) 調査後の対応


調査結果に応じて対応を行い、修正申告が必要な場合は不足分の税金を追徴課税とともに支払います。一方、問題がなければ「特に問題はありません」とされ調査は終了します。調査後に指摘があった場合でも迅速に対応すれば問題を最小限に抑えられます。税務調査は冷静に対応すればスムーズに進むため、過度に恐れる必要はありません。不安を軽減する具体的な対策についても準備を進めましょう。


よくある質問と注意点


次に税務調査に関するよくある質問と勘違いされている方が多い点について解説します。

何が何でも追徴課税はとられるって本当?


申告内容に誤りや不足があれば追徴課税が課されることがあります。

しかし、必ず追徴課税が取られるわけではありません。調査の結果、問題がなければ「特に問題ありません」とされ追徴課税は発生しません。


家の中をひっくり返して調べられるのですか?


税務署の調査官が勝手に家の引き出しを開けたりするようなことは一切ありません。

通帳の保管場所を確認されたりすることはありますが、あくまで納税者に確認の上行われます。


なぜ私が調査対象に?


税務調査が入る理由には、以下のような傾向があります。

  • 利益の増減が激しい場合:急激な利益の変動があると、調査対象になりやすいです。
  • 過去に申告ミスがあった場合:以前の申告内容に修正や指摘があった場合、再度調査が入ることがあります。
  • 他の事業者との関連:取引先が調査対象となった場合、その関連情報として自社も確認されることがあります。


特に問題がなくても調査対象になることはありますが、選ばれる理由がある程度明確である点を知っておきましょう。

参考:税務署に目を付けられる個人事業主とは?実際の事例から税務調査がくる理由と事業主の特徴を紹介します。


調査中にしてはいけないことは?


税務調査中の対応次第で、事態が悪化することもあるため注意が必要です。


隠し事や虚偽の説明をしない

調査官は既に多くの情報を把握しています。嘘やごまかしは信頼を損ね、問題を深刻化させる原因になります。


言い訳や感情的な対応を避ける

「そんなことは聞いていない!」といった感情的な反応や、曖昧な言い訳は逆効果です。冷静に正直な対応を心がけましょう。

税務署員の対応が気になる場合は?


調査が公正に行われていないと感じた場合、以下の対処法があります


  • その場で質問する:「この質問の意図を教えていただけますか?」など、冷静に聞いてみるとよいでしょう。
  • 税理士に相談する:不安がある場合は税理士にその場で対応を任せることができます。
  • 税務署への報告:調査官の行動に問題がある場合は、税務署に問い合わせて対応を求めることができます。


税務調査はあくまで正しい税務処理の確認が目的です。冷静で誠実な対応を心がけることで、調査をスムーズに終わらせることができます。次に、不安を軽減するための準備について解説します。


税務調査に備えるためのポイント


税務調査に備えるポイントを解説します。過去の申告に誤りがある場合と、そうでない場合でやり方は大きく変わります。

 過去の申告に誤りがあることがわかっている場合



過去の申告ミスを自身で把握している場合は、税務調査が来る前に税務調査に強い専門家に相談することが重要です。調査が始まってしまうと、罰金や延滞税(利息)が高額になるだけでなく、重大なミスがある場合には最大7年分まで遡って調査される可能性があります。この期間は通常の3~5年よりも長く、負担が大きくなることがあります。

しかし、調査通知が届いてからでも間に合います。速やかに専門家に相談し、対応方針を決めることで、調査をスムーズに進め、損失を最小限に抑えることができます。過去のミスが心配な場合は、迷わず早めに専門家に依頼しましょう。


適正に申告しているつもりなら



正しく申告をしている場合、税務調査はあくまで事実を確認するための手続きであり、過度に恐れる必要はありません。「何か見つかったらどうしよう…」と不安を抱くこともあるかもしれませんが、適切に対応していれば問題が発生することはほとんどありません。

調査官は事実確認を行うだけです。誠実で冷静な対応を心がけ、質問には堂々と答えましょう。正しい申告をしているならば、調査はスムーズに進みます。不必要な心配はせず、自信を持って対応することが大切です。


まとめ


最後にポイントをまとめます。


  • 税務調査は過度に恐れる必要はない
  • 調査通知を受け取ったら速やかに準備を開始する
  • 冷静かつ誠実に対応する
  • 過去の申告ミスがある場合は事前対応を
  • 日頃から帳簿管理や税理士との連携を徹底する



税務調査は、正しい税務申告が行われているかを確認するための手続きであり、必要以上に恐れることはありません。ただし、過去に申告ミスがある場合や調査通知を受け取った場合には、速やかに専門家に相談することで、罰金や延滞税、さらには7年遡られるリスクを最小限に抑えることができます。

一方で、適正に申告している方は、堂々と冷静に対応することで調査をスムーズに終えることができます。調査官は事実確認を行うだけであり、誠実な対応が信頼関係を築くカギとなります。

日頃からの帳簿管理や専門家との連携を大切にすることで、税務調査が入ったとしても安心して対応できる準備を整えておきましょう。不安や疑問があれば、早めにプロに相談することをおすすめします。


この記事を書いた人

税理士法人T-FRONT

税理士法人T-FRONT

愛知県名古屋市、静岡県浜松市など東海地方に拠点を置く税理士法人です。
顧問税理士サービスをはじめ会社設立、創業融資、元国税庁職員による税務調査対応など、法人や個人事業主の税務・財務問題に幅広く対応。ともに伴走し、事業をともに成長させるパートナーとして日々活動しています。
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