せどりの税務調査はこう来る!バレる仕組みと追徴課税に備える方法


  • 副業で始めたせどり、少し利益が出てきたけど、確定申告って…?
  • 売上も少ないし、まさか自分に税務調査なんて来ないだろう…
  • もし調査が来たら、追徴課税は一体いくらになるんだろう…?


せどりの税金に対する漠然とした不安を感じているのではないでしょうか??

この記事は税務署が「どのようにあなたの取引を見つけ、何を問題視するのか」というテーマから追徴課税に備えるための方法について解説していきます。

なぜバレる?「自分は大丈夫」という考えを改めるべき理由


「どうせバレない」という考えは、数年後に何倍にも膨れ上がった追徴課税という形で自分に返ってくる可能性があります。

なぜ、あなたの取引が税務署に把握され得るのか。まずはその仕組みを、冷静に理解することから始めましょう。


プラットフォームからの「法律に基づく」情報提供

国税庁は、国税通則法第74条の2に基づき、Amazon、メルカリ、楽天といったプラットフォーム事業者に対し、個人の取引データ(誰が、何を、いつ、いくらで売り、どこに入金されたか)の提出を合法的に要求できます。

これはプラットフォーム側の「任意」ではなく法律上の義務であり、拒否できません。

あなたの取引履歴は、必要に応じて確実に税務署に渡っているのです。


ネット取引専門調査官「電子商取引専門調査チーム」の存在

国税庁の各局には、インターネット取引を専門に監視・分析する「電子商取引専門調査チーム(通称:電商チーム)」が設置されています。

膨大なデータを分析し、「申告されている所得に対して、ECサイトでの売上が不自然に多い」「SNSでの投稿内容と申告内容が乖離している」といった個人をリストアップしています。


銀行・SNS・第三者からの情報という包囲網


  • 金融機関

税務署は、あなたの銀行口座の入出金記録も、法律に基づいて照会できます。継続的に不自然な入金があれば、当然ながら注目されます。


  • SNSやブログ

「今月は月商〇〇万円達成!」といった投稿も、あなたの申告内容と照合するための「裏付け資料」としてチェックされることがあります。


  • 反面調査と第三者からの情報提供

なたの仕入先が税務調査を受ければ、その取引相手としてあなたの情報が照会されることがあります。


また、国税庁のウェブサイトには「課税・徴収漏れに関する情報の提供」という匿名通報窓口があり、第三者からの情報が調査の端緒となるケースもあります。


【警告】申告漏れの先に待つ、重いペナルティ(追徴課税)

申告漏れが発覚すれば、本来納めるべき税金に加え、以下のペナルティが課せられます。


  • 過少申告加算税: 期限内に申告はしたが、金額が少なかった場合。追加税額の10〜15%
  • 無申告加算税: そもそも申告をしなかった場合。追加税額の15〜20%
  • 重加算税: 意図的に隠蔽・仮装したと判断された、最も悪質なケース。追加税額の35〜40%
  • 延滞税: 納付が遅れた日数に応じて課される利息。年率最大8.7%(令和6年現在)。(注:この税率は金利の変動に応じて毎年見直されます)


確定申告が必要?「所得」で見る「2つ」の明確な基準


「自分は申告が必要?」この疑問に答える鍵は、年間の所得がいくらか、そしてあなたの働き方の2点だけです。


所得の計算式を理解する

ここで言う「所得」とは、単純な売上(収入)のことではありません。

この違いを理解することが全ての始まりです。


所得 = 年間の総売上額 − 年間の総経費額


【副業の方】年間所得が「20万円」を超える場合

会社員やパートなど、他に主な給与収入がある方が副業でせどりを行っている場合、1月1日〜12月31日の年間の所得が20万円を超えると、所得税の確定申告が必要です。


【本業の方】年間所得が「48万円」を超える場合

せどりを本業としている個人事業主や、他に収入源のない専業主婦(主夫)の方などの場合は、年間の所得が48万円(全ての納税者が受けられる基礎控除額)を超えると確定申告が必要です。


【【最大の注意点】20万円以下でも「何もしなくていい」は誤解!

「所得20万円以下だからセーフ」と考えるのは、税務の世界でよくある危険な誤解です。


  • 注意点① 住民税の申告義務は存在する

「年間所得20万円以下の申告不要」制度は、あくまで国税である「所得税」のルールです。

あなたが住む市区町村に納める地方税である「住民税」にはこの特例はなく、所得があれば原則として申告義務が生じます。

所得税の確定申告をしない場合は、別途お住まいの役所で住民税の申告が必要です。

(※ただし、実務上は各自治体の判断で少額の申告を求めていない場合もあります。詳しくはお住まいの市区町村にご確認ください。)


  • 注意点② 医療費控除やふるさと納税をする場合

もしあなたが、医療費控除やふるさと納税などで確定申告をするのであれば、副業所得がたとえ1円であっても、その金額を申告書に記載しなければなりません。

「20万円以下だから書かなくていい」というルールは適用されないのです。


副業の確定申告やダブルワークの確定申告については下記で詳しく紹介しています。



節税の選択肢:「事業所得(青色申告)」 もしくは「雑所得」


せどりの所得をどう申告するか。これは単なる事務手続きの違いではなく、あなたの手元に残るお金を最大化し、事業を安定させるための戦略的な選択です。

主に「事業所得」と「雑所得」の2つがあり、ご自身の状況に合わせて選ぶことが重要です。


① 事業所得(青色申告を推奨)② 雑所得
位置づけ反復・継続・独立した本格ビジネス一時的なお小遣い稼ぎ、他に本業がある副業
向いている人本格的に事業として取り組みたい方手続きを簡便に済ませたい小規模な副業の方
節税メリット◎ 大きい△ 限定的
最大65万円の特別控除ありなし
赤字の繰越(3年間)あり不可(給与所得との損益通算も不可)
家族への給与を経費にできる(要件あり)できない
30万円未満の備品を一括経費にできる(要件あり)できない
記帳義務複式簿記(会計ソフトで対応可能)簡易な帳簿でOK(収支の記録は必須)


事業所得(青色申告)で節税効果を最大化する

反復・継続・独立して、責任をもって取り組むビジネスは「事業所得」に該当します。

事業所得で申告する場合、特典の多い「青色申告」を選択することで、国が用意した強力な節税制度を活用できます。


  • 年間最大65万円の所得控除: 青色申告最大のメリット。課税所得を大幅に圧縮でき、所得税・住民税・国民健康保険料(該当者のみ)の全てが安くなります。
  • 赤字の繰越: 事業開始直後は、仕入れ先行で赤字になることもあります。青色申告なら、その赤字を翌年以降3年間の黒字と相殺できます。


雑所得でシンプルに申告する

「まだ始めたばかりで、来年続けるかわからない」「年間の利益も数万円程度」という方は、まずは「雑所得」で申告するのも一つの手です。

青色申告のような大きな節税メリットはありませんが、帳簿付けの負担が軽いという利点があります。


結論

ご自身の事業規模と将来の展望に合わせて判断することが重要です。

たとえ今の所得が少なくても、来年以降もせどりを継続・拡大する意思があるなら、一日も早く「個人事業の開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出し、「事業所得(青色申告)」の体制を整えることを強く推奨します。


経費を制する者が税務を制す!調査官に認められる経費の知識


「これは経費になる?」この迷いをなくし、税務調査で「事業と関係ありませんね」と指摘(否認)されないための、確かな経費知識を身につけましょう。


カテゴリ具体例調査官を納得させるポイント
売上原価売れた商品の仕入代金年末に売れ残った在庫は経費にならない。 下記参照。
販売手数料Amazon、メルカリ等のプラットフォーム手数料売上と経費の両方を正しく計上すること。
荷造・送料梱包材(ダンボール、テープ)、宅配便の送料
通信費インターネット回線、スマホの通信料プライベートと共用なら家事按分が必須。下記参照。
消耗品費プリンターのインク、納品書の用紙、文房具など10万円未満の物品。
地代家賃自宅兼事務所の家賃、レンタル倉庫代事業で使う面積の割合など、論理的な家事按分が必須。
水道光熱費自宅兼事務所の電気代など作業時間など、合理的な基準で家事按分
交通費店舗仕入れのガソリン代、電車代、高速代「〇月〇日 A店仕入れ」など、事業目的の記録を残すこと。
ツール・外注費価格改定ツール等の利用料、梱包の外注費契約書や請求書を必ず保管すること。
研修・図書費せどりに関する情報商材、書籍代、セミナー参加費事業に直接関係があることが証明できるかが鍵。


初心者が必ずハマりやすい「経費の3大落とし穴」


「在庫」と「売上原価」の混同

調査官が最も厳しくチェックする項目です。

仕入れた商品のうち、年末(12月31日)時点で売れ残っているもの(棚卸資産)の仕入代金は、その年の経費には絶対になりません。

経費に計上できるのは、その年に「売れた」商品の仕入代金(売上原価)のみです。


【売上原価の計算式】

売上原価 = 期首在庫(年初の在庫額) + 当期仕入高 − 期末在庫(年末の在庫額)


曖昧すぎる「家事按分」

自宅家賃や光熱費を経費にする「家事按分」は、客観的で合理的な基準がなければ否認されます。

「なんとなく3割」は通用しません。

「自宅(80㎡)のうち、作業部屋(16㎡)を事業専用で使っているため、家賃の20%を経費にする」など、誰が聞いても納得できる明確な根拠を説明できるように準備しておきましょう。


10万円以上の備品の一括計上

仕入れ用の高スペックなパソコンなど、10万円以上の備品は原則として「固定資産」として資産計上し、法律で定められた年数(例:パソコンは4年)に分けて少しずつ経費化(減価償却)する必要があります。

(※青色申告者には、30万円未満まで一括で経費にできる特例があります)


【未来の落とし穴】年商1000万円の壁と「消費税」のリスク


所得税の確定申告に慣れてきた頃に直面するのが「消費税」の問題です。

利益ではなく売上で判定されるため、利益率が比較的低いビジネスモデルであるせどりでは、特に注意が必要です。

売上が急に伸びると、予想外の納税額に慌てることになりかねません。


消費税を納める義務(課税事業者)が発生する主なケース

  • 原則: 2年前(前々年)の課税売上高が1,000万円を超えた場合。
  • 特例: 前年の1月1日から6月30日までの特定期間の課税売上高が500万円を超えた場合。
  • 選択: 自ら「インボイス発行事業者」として登録した場合。売上高にかかわらず課税事業者となります。

せどりの売上が順調に伸びてきたら、必ずこの「1,000万円の壁」を意識してください。

今は関係ないと思っても、将来慌てないために、頭の片隅に置いておくべき非常に重要な知識です。


税務調査に関するよくある質問


税務署から「お尋ね」の封書が届いたり、電話がかかってきたりしたら?

絶対に慌てないでください。

落ち着いて対応することが最も重要です。


  • 封書の場合

内容をよく読み、何について聞かれているのか(例:特定の年のインターネット取引について)を正確に把握します。

回答期限が記載されているので、それまでに対応が必要です。


  • 電話の場合

その場で即答するのは避けましょう。

「内容を正確に確認したいので、一度資料を見てから、こちらから折り返しお電話します」と伝え、担当者の氏名、部署、連絡先を必ず控えてください。

焦って不正確な回答をするのが一番のリスクです。

どちらの場合も、対応に不安があれば、すぐに税理士に相談することをおすすめします。

税理士に依頼すれば、あなたに代わって税務署との対応を行ってくれます。


もし「税務調査」に選ばれたら、具体的に何をされるのですか?

通常、事前に調査日時と場所(多くはご自宅)の連絡があります。

当日は、調査官が1〜2名で訪れ、帳簿や領収書、銀行通帳、売上データなどを確認しながら、事業内容について質問をします。

時間は半日〜1日程度かかるのが一般的です。

威圧的な態度の調査官は稀で、あくまで申告内容が事実に基づいているかを確認するのが目的です。

正直に、誠実に対応することが何よりも大切です。


【まとめ】税務の不安を、事業成長の羅針盤に変えよう


解説してきた通り、せどりにおける税務調査のリスクは現実に存在します。

しかし、それは正しい知識を持ち、適切な対策を講じれば、何も恐れる必要はないということもご理解いただけたはずです。

最後に不安を自信に変えるための、具体的な方法を提示します。


税務健全化」3つの方法

現状把握:10分

まずは、今年1月1日から今日までの、せどりに関する売上と経費の概算額を計算してみる。

「所得」がいくらになっているか、その数字を直視することから全ては始まります。


ツールの検討:15分

主要なクラウド会計ソフトの「無料お試しプラン」に登録してみる。銀行口座を連携させ、自分の取引データが自動で取り込まれる感覚を体験してください。

その便利さに、未来の確定申告へのハードルがぐっと下がるはずです。


準備と確認:5分

Googleで「(あなたの市区町村名) 税務署」と検索し、管轄の税務署を確認する。

そして、国税庁のサイトから「開業届」と「青色申告承認申請書」のPDFをダウンロードし、一度目を通してみる。相手を知り、武器を理解し、戦う場所を確認する。これが勝利の鉄則です。

確定申告は、面倒な義務であると同時に、あなたの事業の健康状態を正確に可視化し、利益を最大化するための最強の経営ツールです。

税務への漠然とした不安に怯える日々は、今日で終わりにしましょう。


【免責事項】

本記事は、せどりに関する税務の一般的な情報提供を目的としており、特定の個人に対する税務アドバイスを行うものではありません。

記事の内容は万全を期しておりますが、その正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。

本記事の情報を利用した結果として生じたいかなる損害についても、当方では一切の責任を負いかねます。

具体的な申告手続きにあたっては、必ずご自身の責任において、税理士等の専門家にご相談いただくか、国税庁の公式情報をご確認ください。



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この記事を書いた人

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