パチンコやパチスロで大勝した時にこのようなことをおもったことはありませんか??
「このお金、税金ってどうなるんだろう…?」
その瞬間、勝利の喜びが不安に変わってしまった経験はありませんか?
ネットで調べてみると「50万円までなら大丈夫」「バレたら追徴課税が重い」と情報は様々です。
- 年間利益はいくらから申告が必要?
- 負け日は経費にならないの?
この記事ではパチンコの利益に関する課税ルール、負け分の取り扱いまで詳しく解説していきます。
パチンコ勝ち金は課税対象。だが、申告義務がある人はごく僅か
パチンコ・パチスロの勝ち金は、法律上『一時所得』として課税対象です。
しかし、計算上の控除が大きいため、実際に税金が発生し、申告義務が生じるのは、年間でかなりの利益を上げた方に限られます。
あなたが確定申告をすべきか否か、以下のフローチャートで正確に判断してください。
【START】
年間のパチンコ・スロットのトータル収支はプラスですか?
⇒NO:申告は一切不要です! 税金の心配なく、娯楽として健全にお楽しみください。
⇒YES →「STEP 2」へ
【STEP 2】
年間の利益から特別控除50万円を引いても、まだプラスですか?
計算する金額: 年間の総収入額(※1) – その収入を得るための直接経費(※2) – 50万円
(※1)年間の景品交換額の合計
(※2) 当たりが出た日の投資額の合計
⇒0円以下:申告は不要です! 税金はかかりません。
⇒プラスになる → 「STEP 3」へ
【STEP 3】
あなたは会社員(給与所得者)で、年末調整を受けていますか?
⇒YES → 次の質問へ
⇒NO (個人事業主・年金受給者など) →確定申告が必要です!
【STEP 4(会社員の方)】
一時所得の課税対象額は、20万円を超えますか?
計算式:(STEP 2で計算したプラスの金額) ÷ 2
⇒20万円以下 → 所得税の確定申告は不要。ただし、住民税の申告は必要です!(※1)
⇒20万円超 → 所得税の確定申告が必要です!
(※1)なぜ所得税の申告が不要なのに、住民税の申告が必要なのか?
それは、所得税と住民税では「少額所得の申告免除ルール」が異なるためです。
会社員の場合、給与以外の所得(一時所得の課税対象額)が20万円以下なら所得税の確定申告は免除されますが、住民税にはその免除規定が存在しません。
そのため、お住まいの市区町村へ別途申告する義務が残ります。
なぜ課税される?パチンコ特有の「税金の仕組み」
「たかが娯楽なのに」「宝くじは非課税なのに」という疑問を解消していきましょう。
課税の根拠は「三店方式」という換金システム
パチンコが課税される直接的な理由は、景品を現金に交換する『三店方式』という仕組みの存在です。
遊技場、景品交換所、景品問屋が独立運営することで、遊技の結果得た特殊景品が最終的に現金に交換されます。
この「換金」という事実があるため、国税庁はこれを実質的な所得とみなし、課税対象としています。
宝くじが非課税なのは「当せん金付証票法」があるから
宝くじやサッカーくじ(toto)の当せん金が非課税なのは、『当せん金付証票法』や『スポーツ振興投票の実施等に関する法律』といった特別な法律に、あらかじめ「非課税とする」と明確に定められているからです。
(参考:当せん金付証票法)
一方で、パチンコや競馬、競輪には、所得税法上にそのような非課税規定がありません。
そのため、税の基本ルールに従い、「一時所得」として課税対象となるのです。
「ギャンブルや宝くじなど」と税金の関係
種類 | 税区分 | 課税/非課税 | 根拠/理由 |
---|---|---|---|
パチンコ/スロット | 一時所得 | 課税 | 非課税規定がなく、三店方式による換金実態があるため。 |
競馬/競輪/競艇 | 一時所得 | 課税 | 非課税規定がないため(払戻金は所得税法上の所得)。 |
宝くじ | – | 非課税 | 当せん金付証票法 第13条に非課税規定があるため。 |
サッカーくじ(toto) | – | 非課税 | スポーツ振興投票の実施等に関する法律 第16条に非課税規定があるため。 |
【最重要】納税額を決める「一時所得」の計算と経費
申告義務と納税額を決めるのが「一時所得」の計算です。
この計算式と、特に「経費」の考え方を正確に理解することが、何よりも重要です。
一時所得の計算式
課税対象額 = (総収入金額 – その収入を得るための直接経費 – 特別控除額50万円) ÷ 2
この金額を、給与所得など他の所得と合算して最終的な税額が決まります。
(参考:国税庁 タックスアンサー No.1490 一時所得)
経費にできるのは?「年間の負け分」は認められない
経費として認められるのは、あくまで『その収入を得るために直接要した金額』、つまり『当たりが出た日の投資額』のみです。
全く当たらなかった日の投資額や、年間のトータルの負け分は一切経費にできません。
経費証明の難しさ
「当たりが出た日の投資額」と言っても、どの投資が当たりに直結したかを客観的に証明するのは、現実には非常に困難です。
そのため、税務調査などでは個別の状況に応じて判断されますが、少なくとも日々の収支を記録しておくことが、自身の主張の根拠となります。
「雑所得」なら負け分も経費に?その極めて高いハードル
「パチプロとして生計を立てているから雑所得だ」と主張すれば、年間の負け分も経費にできます。
しかし99.9%の人にとって非現実的な選択肢です。
過去、競馬の払戻金を巡る裁判で「雑所得」が認められたのは、
数年間にわたり、独自の予測ソフトを用いて、ほぼ全てのレースで数億円規模の馬券を網羅的に購入し続けたという、もはや事業としか言えない極めて特殊なケースでした(最高裁 平成29年12月15日判決)。
「期待値で立ち回っている」という自己申告レベルでは、まず認められないのが現実です。
【まとめ】正しい知識は最強の防具。
最後にこの記事で得た知識をチェックリストで確認してみましょう。
パチンコ税金の5大要点
- パチンコの利益は「一時所得」
- 会社員の場合、課税対象額が20万円以下なら所得税申告は不要だが、住民税申告は必要
- 経費にできるのは「勝った日の投資額」だけで、年間の負け分は経費にできない
- 会社に知られずに申告するには、住民税の「普通徴収」が必須
税金の知識は不要なトラブルから守り、大勝ちの喜びを100%心から味わうための最強の防具です。
よくある質問(FAQ)
扶養に入っている学生や主婦(主夫)の場合はどうなりますか?
注意が必要です。合計所得金額が48万円を超えると扶養から外れ、世帯主の税負担が増える可能性があります。
この場合の一時所得は「利益 – 経費 – 50万」で計算した金額(1/2する前)が所得判断の基準になるなど複雑なため、大きな利益が出た際は家族に相談するか、専門家にご確認ください。
FXや仮想通貨の利益と損益通算できますか?
できません。パチンコは「一時所得」、FXや多くの仮想通貨取引は「雑所得」であり、所得の区分が異なるため、利益と損失を合算(損益通算)することは不可能です。
過去に申告していない分があります。どうすればいいですか?
できるだけ早く「期限後申告」をすることを強くお勧めします。
税務署から指摘される前に自主的に申告すれば、ペナルティ(無申告加算税)が軽減される場合があります。
隠し通すことは困難です。
お近くの税務署や、税理士にご相談ください。
免責事項
本記事はその情報の完全性・正確性を保証するものではありません。
税制は改正される可能性があり、また個別の事情により税務上の取扱いは異なります。
実際の申告にあたっては、必ず国税庁の公式サイトで最新情報を確認するか、税理士等の専門家にご相談ください。
本記事の情報に基づくいかなる判断・行動についても、当方は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。