PayPayの確定申告は取引履歴でOK!領収書の代わりになる?電子帳簿保存法などを解説


  • PayPayで支払った経費、確定申告はどうすればいい?
  • 領収書がないけど大丈夫?


PayPayの取引履歴は確定申告の経費証明として利用できます。

そのためには2022年から義務化された「電子帳簿保存法」への正しい対応が不可欠です。

この記事では、PayPayを使った確定申告の基本から、必須となる取引履歴の保存方法、注意すべきポイントまで、必要な情報を解説します。


PayPayでの支払いは確定申告に使える!ただし「領収書」は発行されない


PayPayの支払いは事業に関連するものであれば、確定申告で経費として計上できます。

ただし、PayPay自体は、従来のような紙の「領収書」を個別の取引ごとに発行するサービスは提供していません。

アプリ上に「領収書」と表示される機能もありますが、これはあくまで支払い明細であり、税法上の要件を完全に満たす「領収書」とは異なる可能性があると認識しておきましょう。

重要なのは、「領収書がない=経費にできない」と諦めるのではなく、「領収書に代わる証拠」を、国のルールに沿って適切に保存することです。


【重要】領収書の代わりは「取引履歴」。電子帳簿保存法がカギ


PayPayの支払いにおいて、領収書の代わりとなるのがアプリやサイトから確認できる「取引履歴」や「利用明細」です。

この取引履歴を証拠として認めてもらうために理解必須なのが電子帳簿保存法です。


  • PayPayでの決済は「電子取引」に該当します。
  • 電子取引のデータは、電子データのまま保存することが法律で義務付けられています。
  • 紙に印刷しての保存は、原則として認められません。


2022年1月1日から、この電子データ保存はすべての事業者(法人・個人事業主)に義務化されました。

つまり、PayPayの利用履歴は、法律で定められた要件を守ってデータとして保存しなければなりません。


PayPayで確定申告!具体的な3ステップを解説


実際にPayPayの取引履歴を確定申告に利用するための手順を、3つのステップで見ていきましょう。


ステップ1:取引履歴を「CSVデータ」で取得する

最も効率的で推奨される方法が、PayPayの取引履歴CSVダウンロード機能の活用です。

CSVファイルで一括ダウンロードすれば、多くの会計ソフトに直接インポートでき、手入力の手間やミスを大幅に削減できます。


  • PayPayアプリからCSVダウンロードを申請します。
  • 準備完了の通知後、24時間以内にダウンロードが必要です。


確定申告期に慌てないよう、月次や四半期ごとなど、定期的にデータを取得・保存する習慣をつけましょう。


ステップ2:「電子帳簿保存法」の2大要件を満たして保存する

ダウンロードしたデータをただ保存するだけでは不十分です。国税庁が定める以下の2つの要件を満たす必要があります。

この要件を満たしたデータは、原則として7年間保存する義務があります。


要件内容具体的な対応策の例
真実性の確保データが改ざんされていないことの証明「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」を定め、その規程に沿った運用を行う。(規程のひな形は国税庁サイトで入手でき、多くの事業者にとって最も導入しやすい方法です)
可視性の確保誰でも見やすく、検索できる状態にすることPCやプリンタなどを備え付け、いつでも明瞭な状態で表示・印刷できるようにしておく。・「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目で検索できる機能を確保する。(ファイル名の工夫やExcelのフィルタ機能などで対応可能)


ステップ3:データを基に会計処理・申告を行う

保存したデータを基に会計帳簿を作成し、確定申告書を完成させます。


  • e-Tax(電子申告)の場合:PayPayの取引データを電子データのまま申告書に添付できます。
  • 紙で提出する場合:申告書は紙で提出しても、元データであるPayPayの取引履歴は、ステップ2の要件に従って電子データのまま保存しておく必要があります


PayPay取引の仕訳方法と勘定科目を解説


PayPayでの取引を正しく帳簿に記録するための、具体的な仕訳例をパターン別に解説します。


パターン1:PayPay残高にチャージした時の仕訳

銀行口座からPayPay残高に10,000円チャージした場合。

この時点では経費は発生しておらず、資産の移動として扱います。


勘定科目(借方)勘定科目(貸方)
預け金 or 仮払金 10,000円普通預金 10,000円


パターン2:PayPay残高で経費を支払った時の仕訳

チャージしたPayPay残高から、事業用の消耗品を3,000円で購入した場合。


勘定科目(借方)勘定科目(貸方)
消耗品費 3,000円預け金 or 仮払金 3,000円


パターン3:クレジットカード連携で支払った時の仕訳

PayPayに連携した事業用クレジットカードで、接待交際費5,000円を支払った場合。この時点ではまだ口座から引き落とされていないため、「未払金」で処理します。


勘定科目(借方)勘定科目(貸方)
接待交際費 5,000円未払金 5,000円


パターン4:事業で得たポイントの扱いと仕訳

事業経費の支払いによって得たポイントは、個人のものではなく事業上の利益とみなされ、原則として「事業所得(雑収入など)」として計上する必要があります。

例えば、500ポイントを利用して2,000円の消耗品を購入し、差額1,500円をPayPay残高で支払った場合、ポイント利用分を値引きとして処理するのではなく、経費と収入を両建てで計上します。


勘定科目(借方)勘定科目(貸方)
消耗品費 2,000円預け金 or 仮払金 5,000円
雑収入 5,00円


申告前に確認!PayPay利用で見落としがちな3つの注意点


最後に、確定申告で思わぬミスをしないための注意点を確認しましょう。


事業用とプライベート利用は明確に分ける

最も重要な注意点です。

税務調査でも厳しくチェックされるため、事業専用のPayPayアカウントを作成するか、利用明細上で事業経費を明確に区分できるルールを作り、公私混同を避けましょう。


お店発行の「紙の領収書」をもらった場合の対応

PayPayで支払っても、店舗から紙の領収書をもらう場合があります。

この場合、PayPayの取引記録(電子データ)は電子帳簿保存法のルールに従って電子保存する義務があります。

その上で受け取った紙の領収書も、証憑として別途保管しておくのが最も安全な対応です。

どちらか一方しか保存しないと、税務調査で証拠不十分と判断されるリスクがあります。


経費にならない税金の支払い

PayPayでは所得税や住民税、国民健康保険料などを支払えますが(請求書払い)、これらは経費にはなりません(所得控除の対象です)。

事業税や事業用の固定資産税など一部経費として扱える税金もありますが、個人の生活に関わる税金は経費と明確に区別しましょう。


【まとめ】PayPayでの確定申告、不安なときは税理士に相談を


PayPayの取引履歴は、正しい知識と手順で、確定申告の強力な味方になります。


  • 領収書の代わりは「取引履歴」
  • 「電子帳簿保存法」に則った電子保存が必須
  • 「CSVダウンロード機能」の活用で効率化
  • 公私混同を避け、ポイントは収入計上する


電子帳簿保存法のルールは複雑で、解釈に迷う場面も出てくるかもしれません。

もし対応に少しでも不安を感じたら、安易に自己判断せず、税理士などの専門家に相談することが最も確実で安心な方法です。



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