決算の申告期限を延長できるケースとは?税務リスクを回避するポイント

決算の申告期限が迫ると、「うっかり遅れてしまったらどうなるのか?」「何か対策はあるのか?」と不安を感じる経営者の方も多いでしょう。

法人税の申告期限は決算日から2か月以内で、土日祝日にあたる場合は翌営業日に繰り越されるルールになっています。

また申告期限を守らなければ、無申告加算税や延滞税が発生し、最悪の場合、税務調査の対象になることもあります。

この記事では、決算の申告期限と遅延によるリスク、そして期限を守るための具体的な対策について詳しく解説しています。



決算の申告期限とは?基本ルールを解説


法人税の申告は、企業経営において欠かせない重要な手続きです。

しかし、期限を正しく把握していないと、思わぬペナルティが発生する可能性があります。

この章では、法人税の申告期限の基本ルールや、決算月ごとの申告期限についてわかりやすく解説します。


決算の申告期限の概要


  • 法人税の申告期限は決算日から2か月以内
  • 申告期限が土日祝日の場合は翌営業日が期限
  • 申告期限の延長申請が可能(最長1か月)
  • 期限を過ぎると加算税・延滞税が発生
  • 正確な申告と期限管理が重要


法人税の申告期限は、法人の決算日から2か月以内と定められています。

例えば、決算日が3月31日の場合、申告期限は5月31日です。ただし、申告期限が土日や祝日にあたる場合は、翌営業日が期限となります。

やむを得ない理由がある場合は、所轄の税務署に申請することで申告期限を最長1か月延長することができます。

自然災害や事故、代表者の重篤な病気、会計監査の遅延、税理士の急な体調不良などが、この「やむを得ない理由」に該当します。

ただし、延長を適用するためには、定められた期日までに申請が必要です。

また法人税の申告期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税といったペナルティが発生します。

例えば、無申告加算税は納付すべき税額の5%〜15%、延滞税は原則として年利7.3%(特例基準割合による場合は2.4%)が課されるため、事前にスケジュールを管理し、確実に申告を行うことが求められます。

このように法人税の申告期限を過ぎてしまうと、重いペナルティが発生してしまうので、この機会に改めて決算の申告期限の計算方法について、知っておきましょう。


知っておきたい!決算の申告期限の計算方法


決算の申告期限は、法人の決算日から2か月後の日付が基本となります。

 例えば、決算日が3月31日の場合、2か月後の5月31日が申告期限となります。

ただし、期限が土日祝日と重なる場合は、翌営業日に繰り越されます。

「計算式: 決算日 + 2か月 = 申告期限(例:3月31日 + 2か月 = 5月31日)」


〇シミュレーション例

  • 3月31日決算 → 申告期限は5月31日(ただし、土日の場合は翌営業日へ)
  • 6月30日決算 → 申告期限は8月30日(この場合、土日ではないため調整なし)
  • 12月31日決算 → 申告期限は3月2日(3月2日が土日の場合は3月3日へ)


このように、申告期限は決算日から2か月後に設定され、休日にあたる場合は翌営業日に繰り越される仕組みになっています。

また決算期が10月の場合も同様に計算されます。

例えば、10月31日決算の場合、申告期限は12月31日となります。

ただし、12月31日が土日祝日に当たる場合は、翌営業日に繰り越されます。年末は業務が立て込みやすいため、早めの準備が重要です。

決算の申告期限のルールの計算方法は、決して難しくはありません。ただ頭では理解していても、忙しい業務の中でうっかり忘れてしまうこともあるでしょう。

そのため、事前にスケジュールを確認し、余裕を持って決算処理を行うことが大切です。

次の章では、決算の申告期限が過ぎてしまった場合に発生してしまう「ペナルティ」について解説します。


決算の申告期限を過ぎた場合のペナルティとリスク


法人税の申告期限を守らなかった場合、罰則として金銭的な負担が発生するだけでなく、会社の信用にも影響を及ぼします。

申告期限が過ぎてしまった場合は、無申告加算税や延滞税が発生します。

以下の表で具体的なペナルティとリスクを確認し、申告期限を厳守する重要性を理解しましょう。


ペナルティ・リスク内容
無申告加算税納付税額に応じて5%〜20%の加算税が課される。
延滞税納期限の翌日から年2.4%〜14.6%の延滞税が発生します
青色申告の取消し2期連続で期限後申告になると青色申告の適用が取り消される。
税務調査のリスク増申告が遅れると税務署からの調査対象になる可能性が高まる。
(申告期限を過ぎた場合のペナルティとリスク一覧表)


法人税の申告を期限までに行わなかった場合、最も大きなペナルティは「無申告加算税」と「延滞税」です。

無申告加算税は、納税額が50万円以下の場合で5%、50万円を超える部分には10%の税率がかかります。

さらに、税務署からの指摘を受けた場合は15%〜20%に引き上げられる可能性があります。

また、延滞税は納期限の翌日から日割りで発生し、最大で年14.6%の税率が適用されることもあります。

これに加え、申告遅延が続くと「青色申告の取り消し」や「税務調査の対象」になるリスクも高まります。

さらに、決算処理の遅れは金融機関や取引先の信用にも影響を及ぼし、資金調達や契約継続に支障をきたす可能性もあるのです!

この章では、決算の申告期限が過ぎてしまった場合に発生する各種ペナルティについて詳しく解説します。


無申告加算税:期限後申告の代償


ペナルティの詳細(法律)・発生条件・悪影響


  • 法律:国税通則法第66条に基づき、無申告の場合に加算税が発生する。
  • 発生条件:法定申告期限までに申告しなかった場合に課税される。
  • 悪影響:納税額が増えるだけでなく、税務調査の対象となるリスクが高まる。


無申告加算税は、法人が法定の申告期限内に確定申告を行わなかった場合に課せられるペナルティです。


国税通則法第66条に基づき、納税額に応じて課税されます。税率は以下の通りです。


  • 納税額50万円以下の部分:5%
  • 50万円超の部分:10%
  • 税務調査で指摘された場合:15%〜20%


例えば、納税額が100万円の場合、50万円×5%+50万円×10%で7万5000円の無申告加算税が発生します。

さらに、税務調査で指摘されると20万円に増額される可能性もあります。

申告遅延が常態化すると、税務署からの監視が強まり、将来的な税務調査のリスクも高まるため、注意が必要です。


延滞税:遅れるほど増える負担


ペナルティの詳細(法律)・発生条件・悪影響


  • 法律:国税通則法第60条に基づき、納付期限後に未納税額がある場合に課税される。
  • 発生条件:申告期限を過ぎた納税額に対して、日割りで延滞税が発生する。
  • 悪影響:延滞期間が長くなるほど税負担が増加し、経営資金を圧迫する。


延滞税は、法人税の納税期限を過ぎても納付が行われなかった場合に発生する税金です。

納期限の翌日から発生し、未納期間が長くなるほど負担が増えていきます。

これは、税金の未納があると国の財政に影響を及ぼすため、延滞を防ぐ目的で課されるものです。


延滞税の税率は次の通りです。


  • 納期限の翌日から2か月以内:年2.4%(2024年現在)
  • 2か月を超えた場合:年14.6%(2024年現在)


例えば、100万円の未納税額があり、3か月間未納の場合、最初の2か月は2.4%の低税率が適用されますが、3か月目からは14.6%と一気に上昇します。

長期にわたる未納は、財務負担を大きくし、経営資金を圧迫する原因となるため、できる限り早めの納付が求められます。


青色申告の取消し:節税メリットの喪失


ペナルティの詳細(法律)・発生条件・悪影響


  • 法律:所得税法第144条に基づき、2期連続で期限後申告すると青色申告が取り消される。
  • 発生条件:2期連続で申告が遅れると、青色申告の適用が取り消される。
  • 悪影響:繰越欠損金控除や特別控除のメリットを失い、税負担が増加する。


青色申告は、法人にとって重要な税制優遇制度の一つであり、適正な帳簿管理を行うことで欠損金の繰越控除特別控除などの恩恵を受けることができます。

しかし、2期連続で期限後申告になると、税務署から「適正な申告ができていない」と判断され、青色申告の承認が取り消されてしまいます。

これにより、最長10年間の赤字の繰越控除ができなくなるほか、最大65万円の特別控除が受けられなくなるといったデメリットが発生し、税負担が大きくなる可能性があります。


具体的には以下のようなデメリットが発生します。


  • 欠損金の繰越控除(最長10年)が適用されなくなる。
  • 青色申告特別控除(最大65万円)が受けられなくなる。
  • 赤字の相殺ができなくなり、翌年度以降の税負担が増加する。


例えば、500万円の赤字があり、青色申告で繰越控除を利用できる場合、翌年の課税所得が500万円減少し、税負担が軽減されます。

しかし、青色申告が取り消されると、このメリットを享受できず、余計な税金を支払うことになります。


税務調査のリスク増:監視対象になる危険性


ペナルティの詳細(法律)・発生条件・悪影響


  • 法律:国税通則法に基づき、申告遅延が続く企業は税務調査の対象となる可能性が高まる。
  • 発生条件:申告期限後の提出が続いたり、不正が疑われる場合に税務調査が実施される。
  • 悪影響:税務調査の負担が増し、追加の追徴課税や罰則が課されるリスクがある。


まず税務調査とは、税務署が企業や個人の申告内容が正しく行われているかを確認するための調査のことです。

これには、帳簿や取引の内容を税務署が詳しく精査し、所得の申告漏れや経費の過大計上などの不正がないかを確認する目的があります。

時には、1度の申告期限の遅延で税務調査が入ることもありますが、これが繰り返されると「意図的な遅延ではないか」と疑われる原因となります。

なぜなら、申告の遅れは「経理がずさんである」または「意図的に申告を遅らせている」と税務署から見なされ、納税額の過少申告や不正が行われている可能性があると疑われてしまうからです。

特に、無申告や期限後申告を繰り返している企業は、「意図的に税金を逃れているのではないか?」と判断されやすく、重点的な調査対象となるリスクが高まります。

税務調査が入ると、過去の申告内容が徹底的に精査され、申告漏れが発覚すれば追徴課税が発生し、さらに重い次のようなペナルティが科される可能性もあります。


  • 過去の申告内容が精査され、申告漏れや誤りが発覚すると追加の追徴課税が発生する。
  • 税務調査の対応に時間と労力を奪われ、本業に支障をきたす。
  • 取引先や金融機関の信用を損ねる可能性がある。


例えば、3年間にわたって申告が遅れていた企業に税務調査が入ったケースでは、過去の修正申告と追徴課税で合計500万円以上の追加納税を求められた事例もあります。

このようなリスクを回避するためにも、適切な税務管理と決算の申告期限を守ることが重要です。

また、決算の申告期限が遅延して生じるデメリットは、必ずしも税務関係だけではありません。


決算の申告期限の遅延は金融機関からの心象も悪くする!


決算の申告期限の遅延は、税務上のペナルティだけでなく、金融機関からの信用にも大きく影響します。

特に融資を受けている企業や、新たに融資を検討している企業にとって、決算書の提出遅延は深刻な問題となりかねません。

そもそも銀行を始めとする金融機関は、企業の決算書をもとに経営状況や財務の健全性を判断しています。

そのため、申告期限を守らずに決算書の提出が遅れると、「資金繰りが悪化しているのではないか」「経理管理がずさんなのではないか」と疑われやすくなります。

特に、銀行は融資審査時に決算書の提出を求めるため、申告遅延があると「信用リスクが高い」と判断され、融資が受けにくくなることもあります。

また、すでに融資を受けている場合でも、決算書の提出遅れが続くと「経営状況が不安定」とみなされ、追加融資が受けられなかったり、最悪の場合は融資の引き揚げを検討される可能性も高まります。

金融機関との良好な関係を維持するためにも、申告期限を守り、適切な決算処理を行うことが重要です。


決算の申告期限を延長する方法はある?「やむを得ない場合」は、どういった場合に適応される?


法人税の申告期限は原則として決算日から2か月以内ですが、特定の条件を満たす場合は延長が認められることがあります。

申告期限を延長するためには、適切な手続きを踏む必要があるため、以下の条件を確認しておきましょう。


条件内容延長期間
災害などのやむを得ない事情地震・台風・洪水などの災害や火災により、決算処理や申告が困難な場合災害の影響が続く期間
申告期限直前のシステム障害国税庁の電子申告システム(e-Tax)などのシステム障害により申告が困難な場合税務署の判断による
代表者や経理責任者の重病・死亡代表取締役や経理担当者が突然の病気や事故で申告ができない場合状況に応じて税務署が判断
税務署長の承認を受けた場合会計監査が必要な大企業などが、事前に申請し税務署長の承認を受けた場合最大1か月
(申告期限を延長できる条件一覧表)


法人税の申告期限は、原則として決算日から2か月後と決められています。

しかし、災害・事故・経営者の病気・会計監査の必要性など、やむを得ない事情がある場合に限り、申告期限の延長が認められることがあります。

例えば、地震や台風による被害で会社の業務が一時的に停止した場合は、災害の影響が続く限り申告期限の延長が可能です。

また、上場企業などで会計監査が必須となる場合は、税務署長の承認を受けることで最大1か月の延長が可能です。

ただし、事前申請が必要なため、早めの対応が求められます。

さらに、代表取締役や経理担当者の病気や死亡、e-Taxの障害など、申告が困難な状況であれば、税務署の判断により期限延長が認められることもあります。

申告期限の延長を申請する場合は、事前の手続きや税務署への相談が必須です。適用条件を理解し、万が一に備えて早めに準備を進めましょう。


災害時における決算申告期限の延長ルールと適用条件


災害などのやむを得ない事情により、決算の申告期限が延長される場合があります。

例えば、令和6年(2024年)に発生した能登半島地震では、被災地域の納税者に対して申告・納付等の期限延長措置が講じられました。

このような場合、国税庁や自治体から公式なアナウンスが行われ、具体的な延長期間や手続き方法が示されます。

以下に、災害時の申告期限延長に関するルールと適用条件をまとめました。


延長の種類内容適用範囲
地域指定特定の被災地域全体に対して、一括で申告・納付期限の延長措置が適用される。国税庁が指定する災害地域(例:令和6年能登半島地震の被災市町村)
個別指定被災地域外の納税者でも、災害の影響により申告が困難な場合に申請することで延長が認められる。所轄税務署長の承認を受けた個別の納税者
(災害時の申告期限延長の種類)


災害時の申告期限延長は、原則として「地域指定」と「個別指定」の2種類に分類されます。

地域指定は、特定の被災地域に対して一律で適用され、納税地が該当する地域にある場合は特別な手続きなしで申告期限が延長されます。

一方、個別指定は、災害の影響により申告が困難になった納税者が、所轄税務署長に申請を行い、承認を受けることで延長が認められる制度です。

この場合、災害の影響がやんだ日から2か月以内に申請を行う必要があります。

例えば、令和6年能登半島地震では、石川県輪島市、珠洲市、鳳珠郡穴水町、鳳珠郡能登町に納税地がある方の申告・納付等の期限が延長されました。

具体的な延長期間は、被災状況に応じて後日告示により定められます。

また、被災地域外の納税者であっても、災害の影響により申告・納付等が困難な場合は、所轄税務署長に申請し、承認を受けることで、個別に期限延長が認められることがあります。

災害時には、国税庁や各自治体の公式ウェブサイトで申告期限の延長だけでなく、見舞金などの様々な最新の情報が提供されるため、適宜確認し、適切な手続きを行うようにしましょう。


申告期限直前のシステム障害により申告が出来ない場合


申告期限直前に国税庁の電子申告システム(e-Tax)などのシステム障害が発生し、申告が困難になった場合、税務署の判断により申告期限の延長が認められることがあります。

過去には、実際にe-Taxのシステムトラブルが発生し、申告・納付期限の延長措置が取られた事例もあります。

例えば、2022年3月14日に発生したe-Taxの大規模な接続障害では、確定申告の最終日(3月15日)までに申告・納付期限を迎える納税者を対象に、個別の申告期限延長が認められました。

この際、延長後の期限は1か月後の4月15日とされ、対象者は申告書の特記事項欄に「e-Taxの障害による申告・納付期限延長申請」と記載することで、延長申請が可能となりました。

このようなシステム障害による申告期限延長は、すべての納税者に自動的に適用されるわけではなく、個別に申請が必要な場合がほとんどです。

また、延長が認められるかどうかは、税務署の判断によるため、システム障害が発生した際には、国税庁や税務署の公式発表を確認し、適切な対応を取るようにしましょう。

システム障害は突発的に発生するため、申告期限ギリギリで手続きを進めるのではなく、余裕を持って申告を済ませることが望ましいでしょう。


代表者や経理責任者の重病・死亡による申告期限の延長


企業の申告業務は、代表取締役や経理責任者が中心となって行うため、突然の病気や事故による入院、死亡などの予期せぬ事態が発生した場合、決算の申告が困難になることがあります。

このようなケースでは、税務署の判断により申告期限の延長が認められる可能性があります。

以下に、具体的なルールを整理しました。


状況該当するケース延長の可否
代表取締役の重病代表取締役が突発的な病気(脳梗塞・心筋梗塞など)で入院し、申告手続きができない状況に応じて税務署が判断
経理責任者の事故経理責任者が交通事故で意識不明となり、決算書の作成が進められない状況に応じて税務署が判断
代表取締役の死亡代表者が急死し、新代表の選任や経営引継ぎのため申告が困難な状況状況に応じて税務署が判断
感染症による長期療養新型コロナウイルスやインフルエンザなどで代表者や経理担当者が長期間療養を要する状況に応じて税務署が判断
(申告期限の延長が認められる条件)


例えば、代表取締役が脳梗塞で緊急入院し、意識不明の状態が続いた場合、その間に決算業務を進めることが困難になるため、税務署に申請を行えば申告期限の延長が認められる可能性があります。

同様に、経理責任者が交通事故に遭い、決算書類の作成が完全にストップしてしまった場合も、延長の対象となるでしょう。

また、代表取締役が突然死亡した場合、新しい代表者の選任や経営の引継ぎに時間がかかるため、申告を通常通り行うことが難しくなります。

このようなケースでは、相続手続きや経営体制の変更に伴い、税務署が個別に判断し、申告期限の延長を認めることがあります。

さらに、新型コロナウイルスやインフルエンザによる長期療養も対象となる場合もありますが、必ずではありません。


税務署長の承認を受けた場合の申告期限延長について


会計監査が必要な大企業などでは、決算書の作成や監査手続きに時間を要することが多く、申告期限内に手続きを完了できない場合があります。

こうした状況に対応するため、税務署長の承認を受けることで、法人税の申告期限を最大1か月延長することが可能です。

ただし、この延長が認められた場合でも、納税期限自体は延長されないため、遅延金が発生する点には注意が必要です。

次の表で、税務署長の承認を受けて申告期限を延長できるのか、その条件をまとめました。


条件該当するケース延長の可否
会計監査が必要な企業上場企業や一定の大企業が監査法人による会計監査を受けるため、決算確定が遅れる最大1か月の延長が可能
特殊な決算手続き海外子会社の決算データの取りまとめに時間がかかる最大1か月の延長が可能
その他特別な事情法改正に伴う会計処理の変更により、決算手続きが通常よりも長引く最大1か月の延長が可能
(税務署長の承認を受けて申告期限を延長できる条件一覧)


例えば、上場企業が3月決算を迎えたものの、監査法人の会計監査が完了するのが5月中旬になり、5月末の申告期限に間に合わない場合、事前に税務署長の承認を得ることで最大6月末まで申告期限を延長できます。

また、海外に複数の子会社を持つ会社の場合、各国の決算処理の時差により、全社の財務データを統合するのに時間がかかることがあります。

このようなケースでも、税務署長の承認を得ることで申告期限を1か月延長することが可能です。

ただし、申告期限は延長されても、法人税の納付期限は原則として延長されないため、申告が遅れると「延滞税」が発生します。

例えば、納付期限が5月31日で、実際の納付が6月30日になった場合、延滞税の税率は年2.4%(2024年時点)となり、1000万円の納税額に対して約2万円の延滞税が発生します。

このため、申告期限の延長を申請する場合は、可能な限り納税は期限内に済ませるか、事前に税務署と相談し、対応策を検討することが重要です。

この章でご紹介したように「やむを得ない場合」であれば、決算の申告期限を伸ばせることがありますが、基本的には「期限内に申請する」のが鉄則です。

最後の章では、法人税の申告期限を伸ばさないように決算を行うコツをご紹介します。


決算の申告期限を守るための効率的な対策


決算業務は煩雑で時間がかかるため、事前の準備と効率的な対策が重要です。

決算業務をスムーズに終え、申告を完了させるためには、日々の経理処理の見直しや、クラウド会計ソフトの活用などをおすすめします。

また、近年ではAIを活用した自動仕訳ツールの活用も注目されています。

以下の表で、具体的な対策を整理しました。


対策内容メリット
日々の経理業務をルール化領収書や請求書を即座に整理し、毎月の帳簿付けを徹底する決算時の作業負担が軽減され、申告期限に間に合いやすくなる
クラウド会計ソフトの導入freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを活用するリアルタイムで経営状況を把握でき、作業時間を大幅に削減できる
税理士との連携強化税理士と定期的にミーティングを行い、決算準備を前倒しする専門家のアドバイスが受けられ、ミスを防ぐことができる
AIを活用した自動仕訳ツールAI技術を活用した会計システムで仕訳を自動化する手作業のミスを減らし、業務効率が向上する
アウトソーシングの活用決算業務を外部の会計事務所に依頼する社内のリソースを節約し、確実に申告期限を守ることができる
(決算の申告期限を守るための具体的な対策一覧)


決算の申告期限を守るためには、日常的な経理業務の見直しこそが重要です。

例えば、領収書や請求書をその都度整理し、毎月の帳簿付けをルール化することで、決算時の負担を軽減できます。

また、この業務時にクラウド会計ソフトを導入することで、リアルタイムで経営状況を把握しながら、記帳作業を自動化できるようになります。

近年では、AIを活用した自動仕訳ツールの導入も増えており、手作業による入力ミスを減らすことが可能になっています。

ただし、最も効果的なのは税理士と顧問契約を結ぶことです。

税理士と顧問契約を結ぶことで、日常的な経理業務のアドバイスを受けられ、決算期に慌てることなくスムーズに申告ができるようになります。

また、節税対策や経営戦略の相談も可能となり、財務の健全性を維持しながら効率的な経営を進めることができるでしょう。

さらに、税務調査が入った際も適切な対応をサポートしてもらえるため、リスク管理の面でも大きなメリットがあります。


決算の申告期限のまとめ


決算の申告業務は、税務知識や正確な帳簿管理が求められるため、経営者にとって大きな負担となります。

申告期限を守ることはもちろん、正確な税務処理や適切な節税対策を行うことが、企業の財務基盤を強化する鍵となります。


この記事のまとめです。

  • 法人税の申告期限は決算日から2か月以内であり、土・日・祝日にあたる場合は翌営業日に繰り越される。
  • 申告期限を過ぎると無申告加算税・延滞税が発生し、税務調査のリスクも高まるため注意が必要。
  • 災害やシステム障害など特別な事情がある場合は申告期限の延長が可能だが、事前の申請が求められる。
  • 決算の申告遅延は金融機関からの信用低下につながるため、資金調達や融資審査に影響を及ぼす可能性がある。
  • クラウド会計ソフトや税理士との連携で経理業務を効率化し、申告期限を確実に守る対策を取ることが重要。


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