【注意】役員報酬で節税はできない!法人成りの検討前に知っておこう

税理士からこのような事を言われて、個人事業から法人成にした人は多いのではないでしょうか。

 

会社にした方が節税できますよ!

 

そんな口車に乗せられて、法人成りしたはものの、ちっとも税金は安くならず、税理士への報酬だけが上がった人も少なくないはず。

現在の税制では、法人にして役員報酬を貰っても節税にはならないのです。

今回はそれを証明して行きます。

 

役員報酬が節税になると言う、ウソが書いてあるサイトが多い

 

 

ためしに「役員報酬 節税」と検索してみると、複数のサイトが出てきます。

その中には、大変な間違いが書かれているものもありますので注意が必要です。

具体的な間違った例を紹介します

その中にはこのように書かれていました。

ケース① 自分の役員報酬が月額30 万円=年間360 万円で、会社に1,000 万円の利益が残っている場合

法人税 約292万円 所得税・市県民税 約12万 合計約304万円

 

ケース② 自分の役員報酬が月額100 万円=年間1,200 万円で、会社には160 万円の利益が残っている場合

法人税 約45万 所得税・市県民税 約206万 合計約251万

※(扶養家族が妻と16歳以上19歳未満の子供2 人、社会保険料は考慮しないと仮定します)

 

①と②を比べると、これだけで53万円も納税額が違います!

このように役員報酬を最適なラインに設定することで節税ができます!

 

とのことです。どのサイトかはここでは示しませんが、

そもそも情報が古いので計算自体が今の税法と合っていないのと、「社会保険を考慮しない意味がわかりません」

法人を経営していれば、社会保険料の負担がどれだけ大きいかぐらい誰でもわかります。

それを無視して、役員報酬を設定することに何の意味があるのでしょうか?

 

所得税は増税される一方です。

給与所得控除の上限が下がり、一定の所得があれば配偶者控除は無くなりました。

今は、役員報酬を上げすぎてしまうと損をすることもあるので注意して下さい。

現在の役員報酬の設定は、節税という前向きな意味合いとは少し違って「損をしない設定」という方が正しいのかもしれません。

所得税と法人税と社会保険料は天秤の関係にあります。

 

まずはこれを理解しましょう。

 

役員報酬を増やせば、法人税は減りますが、所得税・社会保険料が増えます。

 

逆に

 

役員報酬を減らせば、法人税は増えますが、所得税・社会保険料が減ります。

 

どちらも減らすことは絶対にできません。

そうなれば、どっちの方が高いかを検討すればよいわけですが、残念ながらどのように調整しても大した節税にならないのが現在の税法になるのです。

本当に節税の効果がないか実際に計算してみよう

法人税と役員報酬に課税される税金を計算するのに便利なものを使います。

役員報酬を増減させるとどのように税金が増減するのかすぐに計算できるエクセルソフトです。完全無料なのでぜひ試してみてください。

 

ケース① 利益1,000万円の場合

役員報酬を除いた利益が1,000万円ある法人を想定して計算してみます。

役員報酬 8,800,000円 と 役員報酬 5,000,000円 ではどちらがトータルの税金は少なるでしょうか?

ちなみに、なぜ片方は1,000万円の役員報酬に設定しないかと言うと、役員報酬を1,000万円に設定してしまうと、社会保険料分がマイナスになってしまうからです。

ですので、役員報酬+社会保険料で1,000万円程度になるように計算してみました。

 

小さくて見づらいかもしれませんが、赤枠の中をご覧下さい。

役員報酬が5,000,000万円のほうが 659,320円 税金が少なくなっています。(社会保険料含む)

ケース② 利益2,000万円の場合

次に役員報酬を除いた利益が2,000万円ある法人を想定して計算してみます。

役員報酬 18,500,000円 と 役員報酬 5,000,000円 ではどちらがトータルの税金は少なるでしょうか?

 

 

 

次は見やすくするために、結果の部分だけを拡大してみました。

役員報酬が5,000,000万円のほうが 2,436,160円 税金が少なくなっています。(社会保険料含む)

今回はなかなかの差が出てしまいました。

以上のことから、役員報酬は高ければ高いほど税金の負担が重くなるということができそうですね。

 

なぜ役員報酬を高くすると損をするのか?

 

なぜ?役員報酬を上げるとトータルの税負担がこんなにも増えてしまうのでしょうか?

その要因を探ってみたいと思います。

 

法外に高い所得税

 

 

上記の図をご覧ください。

左側が役員報酬1800万円、右側が役員報酬1200万円の場合の税金になります。

 

パッとみてどのような印象を持つでしょうか?

僕は第一印象でこう思います。

 

所得税が2倍も違うんですけど…

 

 

可処分所得をご覧ください。(可処分所得とは手取りとお考え下さい。)

役員報酬 1,800万円 → 12,036,580円 (一月あたり1,003,048円) 

役員報酬 1,200万円 → 8,662,940円 (一月あたり721,911円)

こうやって見ると、役員報酬が1800万円の場合、毎月約28万円も手取りが多いわけですから、何となくなっとくできる気がします。

しかし、よく考えて下さいね。

 

1200万円と1800万円の差は600万円あります。

しかし、可処分所得の差は、約330万円しかありません。

つまり、

 

役員報酬を1200万円から1800万円に増やしても、増やした分の半分は税金で持っていかれるということです。

そして、その一番の理由は法外な所得税になるわけです。

 

 

所得税の税率は最高が45%です。そして先ほどの、1200万円から1800万円のゾーンだと33%になりまして、これに市県民税の10%を加えると、実に43%もの税率になるわけなんですね。

まとめ

いかがでしょうか??役員報酬を節税にするのは難しいというのはご理解頂けましたでしょうか?

なぜなら、普通の考えならば役員報酬は増やしたい。しかし、役員報酬を増やすと税金がどんどん高くなるからです。

しかし、現実的には税金のことだけを考えて役員報酬を設定することはできないはずです。

トータルの税金を一番安くしようと思えば、役員報酬は年額で100万円といった極端な数字になってしまうからです。

実際には役員報酬の中から生活費を捻出することになりますので、役員報酬を決める際には、

 

  • 生活に必要なお金
  • 会社の利益
  • 会社に残したいお金
  • 個人に残したいお金

 

そして、最後に

 

己のプライド

 

 

これらの事を総合的に勘案して決める必要があります。

今回の結果から、役員報酬を取ることによって税金が安くなるわけではないということがわかりました。

したがって、安易な法人成りにも注意が必要です。

それは次の機会に書いてみたいと思います。

 

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