会社の設立登記が終わりこれで安心だと思ったら大間違いです。これからが本当のスタートになります。
特に税金というのは、知らないと損をすることがたくさんあります。
今回は、会社を設立した後に提出しなければならない書類等をご説明いたします。
他の事を忘れても「青色申告の承認申請書」だけは忘れてはならない
とにかく他のことは忘れてしまっても、この青色申告の承認申請書だけは絶対に提出して下さい。どんな場合でも絶対にです。
提出期限を1日でも過ぎてしまうと効力はありませんので期限に遅れないように、できれば忘れないうちに会社を作ってからスグに出してしまいましょう。
青色申告の承認申請書とは
青色申告の承認申請書とは、簡単に言うと法人が税金の優遇を受けるために提出する書類です。
これを提出しないと青色申告の恩恵を受けることができません。法人でわざわざ白色申告を選択する人はいないと思うので、会社を作った場合は必ず提出する書類になります。
いつまでに提出しなければならないか
設立第1期目から青色申告の承認を受けようとする場合の提出期限は、設立の日以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日までです。
ほとんどの会社は、設立の日以後3ヶ月以内に該当すると思います。が、期限は関係なく忘れないように会社を作って直に提出することをお勧めします。
何をどう書けば良いのか
① 会社情報を記入します。
② 第一期目の事業年度を記載します。この例の場合は、10月10日に設立した法人で9月決算の場合です。
③ 第一期目の法人はこの欄にチェックを入れて法人設立日を記入します。
④ どのようにして帳簿を作成するかを記入します。
以上が記入してあれば問題ありません。
青色申告の承認申請書を出さないと以下の特典が受けれません。
① 欠損金の繰越控除
青色申告法人の欠損金は、9年後の事業年度まで繰り越すことができます。
創業赤字という言葉があるくらいですので、会社設立1期目というのは赤字になることが多いです。
これが使えないとなぜ税金面で大損する場合があるかを説明します。
(例) 1期目に200万円の赤字 、2期目に200万円の黒字だった場合の税金
○青色申告の承認申請書を提出している場合
1期目の税金 … 0円
2期目の税金 … 0円
○青色申告の承認申請書を提出しなかった場合
1期目の税金 … 0円
2期目の税金 … 約60万円
※均等割りは考慮していません。
上記の例の場合ですと、青色申告の届出を失念しただけで、概算値ではありますが、60万円税金を払い過ぎることになってしまいます。
欠損金の繰越控除が使える場合には、1期目の赤字を2期目の黒字と相殺することができますが、そうでない場合は1期目の赤字200万円は消えてしまうのです。
特に自分で会社を作ってその後税理士に相談等していない場合は青色申告の届出が提出されていない場合があり欠損金の繰越控除が受けらないケースが実際にありましたので、くれぐれもご注意ください。
そのほかに受けられる特典はいくつかありますが、一番大きいのが欠損金の繰越控除になります。他は細かい説明になってしまうので別の機会にご説明できればと思います。
~その他の特典~
② 欠損金の繰り戻し還付
③ 減価償却等の特例
④ 税額控除の特例 など
忘れても大事にはならないが提出しておかなくてはいけない書類
次に提出を忘れてしまっても、大変なことにはならないが提出しなければならない書類をご紹介します。
青色申告の承認申請書を提出する時に一緒に提出するのが良いと思います。
設立届出
① 法人設立届出書
法人設立届書は税務署と県税事務所、市役所の3か所に提出しなければなりません。
添付書類で、定款の写し、登記事項証明書が必要となります。
源泉関係
① 給与支払事務所等の開設届出書
② 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請
会社を設立すると最低でも自分の給与(役員報酬)は発生すると思いますので、源泉所得税関係の届出は必須となります。
その他
① 棚卸資産の評価方法の届出書
② 減価償却資産の償却方法の届出書 など
これらは必要に応じて提出して下さい。
国税庁のHPに新設法人の届出書類というページに提出しなくてはならない書類が記載されています。
こちらを確認し漏れがないように届出書類を提出しましょう。
書類を提出する必要はないが決めなきゃいけないこと
税務署への届出をする必要はありませんが、会社を作ってそうそうに決定しておかなければならないことがります。
こちらも重要なことですので、忘れないようして頂ければと思います。
自分の給料(役員報酬)を決める
役員報酬は好きな時に好きなだけ払えるものではありません。毎月一定額を支給する必要があります。
会社を設立してから3ヶ月以内に役員報酬の額を決めなければいけません。※役員報酬の額を税務署に届出たりする必要はありません。
役員報酬の設定を間違えると、損をすることがありますので、適切な報酬額、適切な設定の仕方をするようにして下さい。
役員報酬の決め方については、こちらの記事に詳しく書いております。
創業融資は速やかに
会社を設立して銀行から融資を受けたいと思っている方は速やかに融資の手続きをすすめましょう。
会社を作る前から動いているのがベストですが、そうでない場合は早めに動いた方が良いです。
営業を開始して少し経ってから融資を受けようとする不利になるケースがありますので、会社を設立してすぐに開始することをおススメします。
終わりに
会社を設立して事業を開始すると、税金の問題はずっとついて回るものです。
しかも、税金というのは知らないと損をすることが非常に多いです。
そのうちの一つが今回の設立後の届出書類の関係になりますので、こちらは速やかに行うようにして下さい。