WordPressテーマの選び方と使い方


Webサイトやブログ運営をする際に役に立つのが「WordPress」です。

その印象や機能性を大きく左右するのが「テーマ」の存在です。

今回はWordPressテーマの基本的な定義から、選び方、種類、インストール、カスタマイズなどを解説します。テーマの選び方が重要な役割を果たすのかを一緒に見ていきましょう。


WordPressテーマとは?


WordPressテーマは、「見た目」を変えるデザインテンプレートではありません。

それは、Webサイト全体の視覚的表現、レイアウト、そして多くの場合、特定の機能に至るまでを決定づける、テンプレートファイル群、スタイルシート(CSS)、JavaScript、画像ファイルなどが組み合わされた包括的なファイルです。

コンテンツがどのように表示され、ユーザーがサイトとどのように関わるかという、サイトの骨組みそのものを規定します。


WordPressテーマがSEOに与える影響


WordPressテーマの選択は、SEOに影響を及ぼします。

サイトの表示速度、モバイルフレンドリー、コードの品質、構造化データマークアップといった要素は、Googleなどの検索エンジンがサイトを評価する上で非常に重要なランキング要因であり、これらはテーマによって大きく左右されます。

適切に最適化されたテーマは、検索順位で有利になります。

逆に、技術的に問題のあるテーマを選んでしまうと、質の高いコンテンツを作成してもSEOの努力が報われにくくなる可能性があります。

テーマの技術的な構造は、検索エンジンのクローラーがサイトを解釈し、評価するかに直接影響し、不適切な構造はクローラビリティやインデクサビリティを低下させ、結果としてランキングに悪影響を及ぼすことになります。


SEOを重視したWordPressテーマ選び方


テーマ選定は、デザインの好みだけでなく、以下のSEOに関わる重要な要素を総合的に評価する必要があります。


デザインとユーザーエクスペリエンス(UX)

視覚的な魅力とブランドイメージへの合致、直感的で使いやすいナビゲーション、高い可読性は、ユーザーエンゲージメントを高め、検索エンジンからの評価にも繋がります。


レスポンシブデザインとモバイルフレンドリー

スマートフォンからのアクセスが主流となった現代において、モバイル端末での表示最適化は必須です。

レスポンシブデザインに対応し、どのデバイスから閲覧しても快適なレイアウトを提供するテーマは、SEO評価を高める上で不可欠な要素です。


表示速度とパフォーマンス(Core Web Vitals)

ページの表示速度はランキング要因であり、Core Web Vitals(LCP、FID、CLS)はユーザーエクスペリエンスを測る主要な指標です。

サイトの表示速度は、ユーザーエクスペリエンスだけでなく、Googleのランキング要因としても公式に認められています。

軽量なコードで設計され、不要なスクリプトの読み込みを抑えたテーマは、表示速度の影響します。


SEO内部対策(テーマ構造)

適切なHTML構造や構造化データへの対応は検索エンジンがコンテンツを正確に理解し、評価するために不可欠です。


カスタマイズの自由度と容易さ

ブランドやコンテンツのニーズに合わせて、色、フォント、レイアウトなどを容易に変更できる柔軟性が求められます。


チェックポイントSEOへの影響確認方法重要度
デザインとUXユーザーの信頼性、滞在時間に影響デモサイト確認、ターゲット層との適合性評価
直感的なナビゲーションサイト回遊性向上、直帰率低下、クローラビリティ向上デモサイトでの操作感、メニュー構造の論理性確認
可読性・コンテンツ表示ユーザーエンゲージメント、滞在時間に影響フォント、コントラスト、行間などをデモで確認
レスポンシブデザインモバイルファーストインデックス対応、モバイルUX向上Googleモバイルフレンドリーテスト、ブラウザ開発者ツール、実機確認
表示速度とパフォーマンスCore Web Vitals、ランキング要因、直帰率に影響PageSpeed Insights、GTmetrixでデモサイトをテスト、テーマの軽量性確認
HTML構造検索エンジンのコンテンツ理解度向上デモサイトのソースコード確認、テーマ仕様確認
構造化データ対応リッチスニペット表示によるCTR向上テーマ仕様確認、構造化データテストツールでデモサイトを検証
コーディング品質表示速度、セキュリティ、バグの少なさに影響Theme Checkプラグイン等での検証、レビュー確認
カスタマイズ性ブランドへの適合、コンテンツ表現の自由度に影響カスタマイザーの項目確認、ページビルダー対応状況中〜高
定期的なアップデートセキュリティ維持、WordPress最新版への対応開発者サイトの更新履歴確認


WordPressテーマの種類と特徴


テーマには様々な種類があり、それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社の目的に応じて選択することが重要です。


公式テーマと非公式テーマ

公式テーマ (WordPress.org)はWordPress公式ディレクトリで配布され、一定の審査基準をクリアしているため比較的安全です。

多くが海外製のため、日本語環境への最適化やサポートが十分でない場合があります。

非公式テーマはテーマ専門の販売サイトや開発者から入手します。

高品質で専門性の高いものも多いですが、品質やセキュリティにはばらつきがあるため、信頼性の確認が不可欠です。


汎用テーマと特定用途向けテーマ

汎用テーマは様々な種類のWebサイトに対応できる柔軟性がありますが、機能が多すぎて重くなる可能性もあります。

特定用途向けテーマは特定の業種や目的に特化しており、必要な機能が予め組み込まれていることが多いですが、汎用性は低くなります。


無料テーマと有料テーマ

WordPressテーマを選定する際、最初に直面するのが「無料テーマ」と「有料テーマ」のどちらを選択するかという課題です。それぞれに利点と欠点があり、事業目的や予算、技術レベルに応じて最適な選択をすることが重要です。


  • 無料テーマのメリット・デメリット


■メリット

・コストゼロ:最大の魅力は何と言っても無料で利用できる点です。初期費用を抑制したいスタートアップや、個人ブログの運営には大きなアドバンテージとなります。

・豊富な選択肢:WordPress公式ディレクトリをはじめ、世界中で数多くの無料テーマが配布されており、選択肢は非常に豊富です。

コミュニティサポートの存在:人気の無料テーマには活発なユーザーコミュニティが存在し、フォーラムなどで情報交換や問題解決のヒントを得られる場合があります。


■デメリット

・サポートが限定的:開発者による直接的なサポートは期待できない場合が多く、問題発生時は自己解決が基本となります。

・機能制限:有料テーマに比べて機能が限定的であったり、高度なカスタマイズには専門知識が必要になることがあります。

デザインの画一化:人気テーマほど多くのサイトで使用されるため、独自性を打ち出しにくい傾向があります。

・SEO対策が不十分な場合あり:全ての無料テーマが最新のSEO要件を満たしているわけではなく、中にはSEO的に不利な構造を持つものも存在します。


■代表的な無料テーマの例


〇Cocoon(コクーン)

日本国内で非常に人気が高く、無料でありながらSEO対策、高速化、豊富なカスタマイズ機能を備えています。

利用者が多いため、情報を見つけやすいのも特徴です。


〇Lightning(ライトニング)

企業サイトやビジネスサイト向けの国産無料テーマで、シンプルなデザインと拡張性が特徴です。


無料版から始め、必要に応じて有料の拡張プラグインで機能を強化できます。

無料テーマの「コスト」は必ずしもゼロではありません。

カスタマイズに手間取ったり、サポートが得られず問題解決に時間がかかったり、あるいは機能不足から結局有料テーマへ移行したりする場合、その時間的コストは無視できません。


  • 有料テーマのメリット・デメリット


■メリット

高機能・多機能:デザイン性の高いものから、特定の目的(アフィリエイト、企業サイトなど)に特化した機能を持つものまで、多種多様なテーマが存在します。


・優れたデザイン性:プロのデザイナーによって設計された、洗練されたデザインのテーマが多く、専門知識なしでも美しいサイトを構築できます。

・専門的なサポート体制:開発者による公式サポート(フォーラム、メールサポートなど)が提供される場合が多く、初心者でも安心して利用できます。

・定期的なアップデート:WordPress本体のアップデートやウェブ技術の進化に合わせて、テーマも定期的に更新され、セキュリティや互換性が維持されます。

・SEO対策の強化:最新のSEOトレンドに対応した内部構造や機能を備えているものが多く、検索上位表示を有利に進められます。


■デメリット

・初期費用がかかる:購入費用が発生します。価格帯はテーマによって異なります。

・テーマによっては複数サイト利用制限:ライセンスによっては、1つの購入で1サイトのみ利用可能といった制限がある場合があります。


■価格相場

有料テーマの価格は、買い切り型であれば10,000円~30,000円程度が一般的です。

年間10,000円~50,000円程度のサブスクリプションモデルも存在します。


■代表的な有料テーマ例


〇SWELL(スウェル)

日本国内で人気No.1の呼び声も高い有料テーマ。ブロックエディタ(Gutenberg)に完全対応し、直感的な操作性と高機能性、美しいデザインを兼ね備えています。


〇AFFINGER6(アフィンガー6)

収益化に特化したテーマとして知られ、アフィリエイトサイト運営に必要な機能やSEO対策機能が豊富に搭載されています。


Cocoonのような高機能な無料テーマが登場し、その品質とユーザーベースの大きさから大手ホスティング企業に事業譲渡されるケース(Cocoonはエックスサーバー株式会社へ譲渡)も見られるようになりました。

有料テーマに対して、単に無料テーマより多機能であること以上の価値、例えば特定の専門分野に特化した高度な機能、卓越したブロックエディタとの連携、あるいは迅速かつ手厚いプレミアムサポートといった明確な差別化を求める動きを加速させています。

有料テーマを選ぶユーザーは、その価格に見合うだけの特定の強みや、品質と継続的な開発への信頼を求めているとおもいます。


予算と目的に合わせた賢明な選択

WordPress初心者の方は、まず無料テーマから始めて操作に慣れるというのも有効な手段です。

本格的なウェブサイト運営を視野に入れるのであれば、有料テーマを選択するのがいいかとおもいます。

無料テーマで始めて後から有料テーマに移行することも可能ですが、記事数が増えてからのテーマ変更は、デザインの崩れや設定の再調整など、想像以上に手間と時間がかかる作業となる場合があります。

将来的に有料テーマへの移行を考えているのであれば、最初から目的や必要な機能を見据えて有料テーマを導入する方が、結果的に効率的であるケースが多いです。

企業ホームページなど、信頼性やブランドイメージが重要なサイトでは、サポート体制やセキュリティ面でも安心感のある有料テーマが適しています。


国内無料テーマの例

テーマ名価格主な特徴
Cocoon超多機能、SEO対策済み、高速化対応、カスタマイズ性高い、スキン機能、利用者多数ブログ、アフィリエイト、情報発信サイト、初心者~上級者
Lightning企業サイト向け、シンプル、ブロックエディタ対応、拡張プラグインで機能追加可、公式テーマ企業サイト、ビジネスサイト、ホームページ、WordPress初心者
Xeoryコンテンツマーケティング特化(バズ部開発)、サイト型・ブログ型の2種あり、シンプルコンテンツマーケティングを行うサイト、企業ブログ、シンプル志向


国内有料テーマの例

テーマ名価格帯主な特徴
SWELL17,600円ブロックエディタ完全対応、高機能、美しいデザイン、ブログ・企業サイト向け
JIN:R19,800円JINの後継、ブロックエディタ特化、デザイン性と使いやすさ向上
AFFINGER614,800円「稼ぐ」に特化、アフィリエイト機能豊富、カスタマイズ性が非常に高い
SANGO14,800円マテリアルデザイン、心地よいデザイン、ユーザーフレンドリー
THE THOR16,280円SEO・表示速度・デザイン性を追求、集客・収益化支援システム搭載
Snow Monkey16,500円/年企業サイト向け、シンプル、拡張性が高い、独自の便利プラグイン提供


WordPressテーマのインストールとカスタマイズ・有効化手順


WordPressテーマのインストール方法は主に2つあります。


  • WordPress公式ディレクトリからのインストール

WordPress管理画面の「外観」>「テーマ」>「新規追加」から、公式ディレクトリに登録されているテーマを検索し、インストール・有効化します。

無料テーマの多くはこの方法で簡単に追加できます。


  • zipファイルでのアップロード

有料テーマや、公式ディレクトリ以外で配布されているテーマは、通常zip形式のファイルで提供されます。

WordPress管理画面の「外観」>「テーマ」>「新規追加」>「テーマのアップロード」からアップロードし、インストール・有効化します。

有効化する前に「ライブプレビュー」機能を使うと、実際にサイトに適用した場合の見た目を確認できるため、予期せぬデザイン崩れを防ぐのに役立ちます。


【まとめ】最適なWordPressテーマを選び方とは??


WordPressテーマの具体的な選び方、使い方を解説してきました。

無料テーマの中にもデザイン性や機能性に優れたものが数多く登場しており、初期コストを抑えつつ質の高いブログやウェブサイトを構築することが十分に可能です。

WordPressの大きな利点の一つは、実現したいウェブサイトの骨格や機能に応じて、最適なテーマを自由に選択し、適用できる柔軟性にあります。

どのテーマを選択するかによって、サイトの見た目や使い勝手、さらには提供できる機能が大きく左右されるため、テーマ選定はウェブサイト構築における重要なプロセスです。




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